年明け早々の作業。

 Hさんから、修理可能ならいいが不可能なら処分してほしいと押し付けられた故障しているMG6330。
 電源投入してみると液晶ディスプレイに「サポート番号6000 プリンタートラブルが発生しました」と表示され動作が停止する。
 印字ヘッドとキャリッジがレールを高速で左右に往復するが、右端の待機位置に戻る際に「ガツン」と凶悪な衝撃音を立ててフレームに衝突する。
 WEBでサポート番号6000を調べると、紙詰まりや用紙送りローラの動作不良を示すらしい。もちろん通常目視できる範囲に紙片は見当たらず、背面の紙抑えの内側もキレイなものだった。電源投入するたびに用紙送りローラも排出方向へスムーズに回転しているのが見える。
 用紙送りモータ周辺をエアダスターでブローしていると、しばらくしてサポート番号が6000から5100へ変わった。
 5100は印字ヘッド・キャリッジの位置不良を示しているらしい。とするとフレームへの衝突はプリンタ本体がキャリッジの正常な停止位置を特定できないままレール上を走らせている結果だろう。
 正常な場合、位置特定はキャリッジ上のスリットを通る形でレール上に張り渡された、位置決め用の微細なラインが刻まれている細長いフィルムをキャリッジが内蔵する光学センサで読んで行うとのこと。このフィルムがヘッドからインクが飛散したり紙詰まり除去の際にインクが付着した紙が接触する等して汚れると位置決めに不具合が出る。
 キヤノンも公式ページで類似機種でサポート番号5100が発生した場合のフィルムのクリーニング方法をアナウンスしていたので、それに従い作業したが改善しなかった。
 ユーザ個人のブログ等を見ると、筐体を分解しヘッドとキャリッジを取り外してクリーニングした事例が幾つかあった。これはフィルムと同時にキャリッジの光学センサもクリーニングするもので、作業の難易度は比較的低いものだ。
 早速記事を参考に作業を開始。それにしても、ヘッドは旧来のiP8600等と同様に取り外し可能なのに、実際に取り外すには筐体カバーと上面スキャナユニットまで取り外しを要する設計は理由が分からない。
 ヘッドには純正インクタンクとメーカー不明の互換インクタンクが入り混じって取り付けられていた。既に全てがカラだったが、どうやって漏出したのかキャリッジ背面やレール上面を超えてスキャナユニットの内側に粘土状のインクがこびりついている。
 キャリッジ周辺まで露出させると、本体後部に内蔵された廃インクタンクが現れた。全くインクを吸った様子がなく、このプリンタが購入後それほど使用されていないことを示している。
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 両サイドカバーとスキャナユニットを取り外した状態。中央のアルミステーががキャリッジレール、その下が印字ヘッドを取り外したキャリッジ。右上の白い繊維状の塊は全く汚れのない廃インクタンク。

 位置決めフィルムに汚れはなかった。次はキャリッジの光学センサを調べる。
 キャリッジの上部レールを取り外してキャリッジをレールから浮かせ、キャリッジ移動モータとキャリッジをリンクしたゴムベルトも一旦外す。これでキャリッジ背面のセンサを見ることができる。センサ周辺にはまだ乾いていないインクがかなり付着していたが、フィルムを挟む形となるセンサと発光部はどちらも汚れていないように見えた。
 位置決めフィルムの清掃作業で中性洗剤を薄めた水で拭くよう公式ページで指定されているのでそのとおり清掃し、ついでに綿棒でセンサの内側も拭き取りをしてみたが、やはりインクの汚れは付着していなかった。
 目視で見る限り原因となりそうなインク汚れや用紙片を特定できないまま組み付けし直して電源投入テストをしたが、サポート番号5100は解消できなかった。
 位置決め用の光学センサは汚れではなく故障しているのかもしれないが特定する方法はない。
 廃棄して良いという条件だったので、これ以上の作業は無駄だと判断しそこで作業を終了した。

 廃インクタンク、印字ヘッドは新品同様だった。印字ヘッドは作業ついでに湯煎クリーニングと乾燥まで実施。本体とセットでジャンク扱い、もしくは廃インクタンクと印字ヘッドは消耗品として別途売却するか。
 一応Hさんに確認しておこう。