実家のプリンタ。

 義父が夜泊まりに来ると妻が言った。
 今夜は義父が所属する会合の忘年会だそうで、飲んでから山奥の義実家に帰るのも大変なので泊める約束にしているのだそうだ。もちろん問題ないが、おそらく義父には居間に休んでもらうことになるので俺が寝る場所がなくなってしまうとぼんやりと思っていたところ、それを見透かされたように物置代わりになっている洋間を片付けて布団を敷いておくからと言われた。
 正午少し前に、実家の妹から年賀状印刷用のプリンタCanon MP610が故障で動かないので直しに来て欲しいと電話があった。何の準備もなく行って無駄足になっても困るので、もっと情報をくれと言うと「プリントヘッドが違います」とのエラーメッセージがMP610のディスプレイに表示されて印字動作に入らないという。
 このキーワードでぐぐると、MP610その他のCanon製インクジェットプリンタで時折報告されている障害のようだ。どういう理由か、併せて電源も入らなくなることが多いようだ。メーカー修理に出すと、修理部品がないことから後継製品への交換となったケースが多い。
 面倒くさくて放置である。
 居間のコタツに潜って眠っていたのだが、妻が年賀状の準備を始めたので追い出された。
 また17時頃に義父がアパートに着き妻が忘年会場まで送りに行ったので、自分もようやく出かける準備をして21時頃になってようやく実家へ。
 着いて玄関が施錠されていることに気がついて、中にいる妹の携帯に電話しようとIS11Tを取り出して、初めて15時頃に「電源も入らなくなった」との続報に気がついた。
 家に入ると妹と母がいた。外が寒いせいか猫達もほぼ全頭揃っている。
 とりあえず現物を調べると、今は電源が入っている。聞くとコンセントから抜いて数時間放置したところ電源は入るようになったという。
 プリントヘッドを取り外し、信号接点とインク吐出口を無水エタノールで清掃したが、状況は改善しない。それどころか再び電源が入らなくなった。改めてコンセントを抜き数分待って電源ボタンを押すと一瞬電源インジケータが明滅するが、やはり正常に動作しなかった。
 状況から見てメーカー修理しかないように思われる。最寄りの家電店に持ち込み修理をするよう説明したが、この週末から年末年始にかけては時間がなさそうで修理に出すことは難しいという。家族の中で一番時間があるお前が…と思っていると、二階の自室にいた父が降りてきた。
 プリンタが直ったのか聞かれたので修理に出すよう言うと、所属しているキヤノンクラブの修理サービスが使えるので引き取り修理を呼ぶという。ということで一旦手当は終了。