湯涌ふたたび。

 先日、F氏からメールが届いていた。
 県都で開かれるヲタイベントについての日程を記したものだ。
 この土曜日には、湯涌温泉で昨年に引き続き花咲くいろは・ぼんぼり祭が開催されるという。
 北國新聞の策略にハマってカネを使うのもどうか…と思わないでもなかったが、F氏に尋ねてみると意外にもネタ作りに行きたいとの前向きな返事。というわけで示し合わせて現地へ向かった。
 今回は祭に先立ちグッズ即売会に並行して湯涌温泉至近の小学校の校庭でnano.RIPEの野外ライブが開催されるとのこと。着いた頃には既に始まっていたが、大変な人だかり。

 何せ全エリアフリーwなので前の方で聴きたかったが、F氏が後ろの方でよいと言う。残念…ところが途中で校舎を振り返ると、ライブ後のトークイベントに出演予定の声優がそっとベランダからライブを眺めているのを発見。前の方にいれば気付くことはなかった。
 トークイベントは即売会で劇場版の前売り券を買った人に抽選で整理券が配布されるそうだ。せっかくなのでF氏に買わないかと勧めるが、これも却下。値段に見合わないからとのこと。
 祭は去年通りなら20時ごろに始まるはずなので、ライブ後に一旦湯涌を出ることに。
 市立文化ホールでこれと別に開催されている花咲くいろはパネル展を見に行ってみる。我々が着いた時には展示室はほとんど客がいなかった。湯涌温泉からは遠いので、車がないとライブ・パネル展・祭を全てチェックするのは難しいかもしれない。

 パネル展示の他に、のと鉄道が実施する予定のラッピング車両を再現したNゲージ鉄道模型と駅舎のジオラマの予約受付も行われていた。列車は限定20両60,000円が全て完売、駅舎ジオラマも1式500,000円クラスが既に予約ありになっている。
 制作したのは名のある精密模型の制作会社で、展示されているサンプルも価格に劣らず見事な出来栄え。どうもアニメより鉄道模型マニアらしい高齢男性が予約係の人に張り付いてひたすら製作手法について質問していた。

 気がつけば湯涌から移動してきたファンが我々に追いついてきたようで急に会場が混雑してきた。パネル展示会も無料だったせいかヲタ臭のない一般の人もちらほら入ってくる。見るとパネルの撮影は自由のようで、一眼レフでパネルを一枚一枚丁寧に接写する人がいた。真似してメモがてらコンデジで撮ってみるが、暗いしこんな場所でフラッシュを使うわけにはいかず手ブレばかりでうまく行かない。
 パネル展を出てしばらく市内を徘徊した後、改めてシャトルバスに乗って湯涌温泉へ。
 シャトルバスのチケットは往復1,000円。高い。ところが俺の前にチケットを買っていた女性は、保存用にもう一枚買うか迷っていた。これがコレクター精神か…。俺は写真で我慢だわ。
 ぼんぼり祭自体は昨年と同様の行程で執り行われた。人出は昨年より少なくなったように感じるが、総湯から伸びる道は集まってきたファンでぎっしり埋まった。その中をかき分けて行列が進む。先導の警備員が「モーゼみたいになってるので大丈夫です!」と無線に連呼。雑踏警備の基礎用語なのか。

 行列の写真を撮るためにカメラを持った連中がひたすら先頭に先回りを繰り返す。行列の中には着物姿の小学生くらいの女の子達が混じっているのだが、そちらにレンズを向けて待っている集団の後ろで自分も撮っていいものか迷っていると、自分の背後にいた人の『ロリコン発見機だよなこういうの』というつぶやきが聞こえて目が覚めた。
 湯涌稲荷に行列が到着した後は、いつものとおり金沢市長、PAワークススタッフを始めとした関係者からのご挨拶タイム。市長と観光協会からは来年以降も継続したい旨のアピールがあったが、PAワークスからは明言はされなかった。
 神様役の女の子が登場したが、何となく自分の役回りが分かっていない表情。F氏によると「分からない方が幸せということもある」のだそうだ。

 前回同様、のぞみ札のお焚き上げは事前配布の整理券を持っていないと同行できず、一般客は会場内のスクリーンでの中継を観る。北國新聞と配下のテレビ金沢Ustreamで中継したらしいが、現地ではモバイル端末の接続は輻輳状態でまともに使えたものではなかった。どうせならネスクに臨時のアクセスポイントも作らせればよかったのに。
 淡々と書いてみたが、この祭の動員数は素晴らしい。終日延べ数で見れば数千は確実に入ってきている。


 昔なら、登場人物はほとんどが女の子で媚・萌アピールがきついアニメ作品なんて観ていることがバレるだけで不可触賤民だったものだが、時代は変わった。