花咲くいろはって観たことないんですけども。

 今年の春頃から『花咲くいろは』というアニメが放送されている。地方の温泉街を舞台に女子高生が温泉旅館で働く姿を描いた作品で、県内に実在する湯涌温泉が温泉街のモデルになっているそうだ。
 最近のテレビアニメは登場人物が女性キャラクタばかりで、しかも大して理由もない露出シーンばかりが強調されたものがほとんどになってしまい観る機会が減ってきている。この花咲くいろはも新聞で誘客にアニメとタイアップしたことが報道されていたのと、BDレコーダDVR-BD130改が自動録画したものをたまたま見たことがあった程度で内容はほとんど知らなかったのだが、ブログか何かで作中の催し『ぼんぼり祭』の再現イベントを湯涌温泉が開催する予定だというのは耳にしていた。
 先日、F氏からその湯涌温泉に行ってみるとのメールが届いた。ここしばらくは何もヲタ分を補給するようなイベントもなかったので、彼に同伴を申し出て現地に行ってみることにした。
 湯涌温泉県都金沢市の旧市街、兼六園からベッドタウンとなった小立野、石引からさらに山奥に入ったところにある静かな温泉街。石川県内にある山代、山中、片山津と言った大きな温泉街に比べるとあまり知名度は高くないが、交通が悪いこととが幸いしたのか極端に観光地化もされず、静かな湯治場の風情が残っている。
 金沢市内で献血帰りのF氏と合流し、ブリットに乗せて現地へ向かった。

 着いてみると人出はあまりない。道中にも特にイベント告知の看板はなかったのでもしかすると「本当に何もない」という状況も想像したのだが、駐車場を探しているうちに早速痛車の群を発見。県外ナンバーばかりで、オフ会か同好の士で宿泊がてらやってきたというところか。

 F氏と二人、それぞれ愛用のカメラをぶら下げてそぞろ歩き。ぱっと見、特にアニメ絵の派手な掲示物は見当たらないように思われたが、街の奥に進むにつれ、雑貨屋や郵便局、宿の軒先にさりげなく掲示されたポスターが目に付くようになった。

 それでも、アニメとの関連を感じさせるようなものはその程度だ。
 道の奥に突き当たって竹久夢二の記念館前に来ると、そこからが「ぼんぼり祭」のメインイベントスポットとなる神社の参道になる。

 割と新しい造りの足湯や休憩所があって一般の観光客もたむろしているが、そのあたりから視界のそこここに我々と同じ匂いを漂わせる集団が入ってくるようになってきた。どうして彼らは、明らかに「そうだ」と分かるようなオーラを発しているのだろうか。

 参道の途中から、祭りのキーアイテム「ぼんぼり」が立てられている。派手さがないあまりに普通の灯篭だったのでしばらくは気に留めていなかったが、よく見てみるとちゃんとコナミジェネオンなど作品制作に関わる企業や出演者から奉納されたものがあった。
 登りきると湯涌稲荷神社に到着。元々ここにあるれっきとした神社だが、今回のイベントに合わせて前述のぼんぼりで飾り付けられていて、F氏は早速賽銭を投じて参拝。何を願掛けしたのかは遂に聞かなかった。

 先に着いていたグループが掛札を前にわいわいやっている。我々も見てみると「関学合格祈願」などとまっとうな願いが書かれたものは少なく「リア充爆発しろ」「なこちぺろぺろ」「巴は俺の嫁」などと露骨に客層が見えるものばかり。どうもこの願掛場は今回のイベントに合わせて新設したもののようで、願掛けの内容にも納得。


 狛犬やぼんぼりを題材に何か撮影できないかといろいろやってみるがあまり撮れなかった。これはひとえに俺のセンスの問題であって、決して場所が悪いというわけではない。
 駐車場までの帰路、何かお土産になるようなものがないかと見てきたが、特にグッズなどはない様子。むしろ湯涌温泉を出て森の杜まで出ると、ゴーゴーカレー本店でグッズ販売が行われているらしいとのF氏情報。


 せっかく温泉地に来たのだから、総湯にでも入って来れば良かったと後悔。次に行く時は、タオルは忘れずに。
 なお、本来はやはりぼんぼりだけに19時〜22時までの点灯時間中に行けば一番見ごたえがあるものと思われるので、次回は検討すべき。