全国優勝。
仕事中、CATVの技術担当と打ち合わせするため外出しようと歩いていると、節電で薄暗い廊下の隅にて隣のN係長以下現幹事団が3人顔を突き合わせて何やら話し込んでいた。脇をすり抜けて階下に降りる間際、彼らが一斉に「となると、あいつか…」とつぶやきながらこっちを見やるのに気が付いた。
『え?何すか?』と振り返ると、N係長が「君ィ。春の飲み会の3次会に使った店にまだツケ払ってないだろ?。俺のところに催促のメール来たじゃないか?」と仰る。
あれ?そうだっけ?。元出納係のZ君に確認すると確かにまだらしい。「Gungunmeteoさんとっくに払ってまだ領収書くれてないだけだと思ってましたよ」とのこと。ノートを見ると確かに俺の字で「4月末までに支払うこと」などと、今となっては虚しいメモが書き込まれていた。
そもそも参加者からの集金すらまだの状態だった。昼休みに集金に走り回り、今夕帰路に立ち寄り支払う段取りとした。
その後終業時刻が近づくにつれ、N係長とZ君が何やら落ち着かない様子に。2人が廊下で顔を合わせる度、誰に声を掛けただの、あまり参加者を増やすなだのと不穏な会話を交わしている。
嫌な予感がする…。N係長にそれとなく聞いてみると、案の定「いや、君が店に払いが遅れたことを詫びて来るのだから、当然現幹事の我々も付き添う必要があるではないか!」との返事。
…つまりあれだ。単に飲みに行きたいだけだ。
というわけで、N係長定番のコースに従って夜の街に繰り出した。
酒も回って2件目に入り、DAMのカラオケにあるハイパー予備校なるランキングゲームで面々が歌い出した。
採点結果で、全国エントリ中の偏差値とランキングが見られるというものだ。
ママ曰く、今まで誰も100位以内入ったことがないらしい。
「もし1位獲ったらボトル一本おごってやる」とママに煽られ、まずはN係長が小田和正で挑戦するがおよそ300エントリ中下から2番目という悲惨な結果に。
X-JAPANを歌わせたら右に出る者がないZ君の「紅」では3,500エントリ中1,000位台。偏差値が60を超えてママによればなかなかの高順位だそう。
再びN係長が選曲した小田和正の1曲が30エントリ以下でまた下から2番目という惨状に一同大笑いしたが、このことでマイナーな曲にしとけば上位エントリ簡単なんじゃね?という安直な事実に気付き、その後は全員がヘンな曲ばっか歌い出した。
俺はというと、誰も歌いそうにないマイナー曲と言われて即座に脳裏に浮かんだ一曲があり、やや遠慮がちにリクエスト。
その曲、BUCK-TICKの「地下室のメロディー」は…。
…全国9エントリ中、何と1位を取ってしまった。
9エントリて…どんだけマイナー曲なんだ…しかも古いし。
やや卑怯な気がしないでもないが、ママは言を弄さず本当に1本入れてもらった。
行った参加者の中で一番アルコールが飲めない俺がもらってどうするのだ。