紙の鎧と数字の剣。

 この春に上司が代わり、かつて勤務していた病院の事務局から、自分の先輩が新たな上司としてやってきた。
 彼が一番最初にやったことは、国から支援を受けて行っていたワンセグ実験の幕引きだった。わずかな機器保守コストを理由にして、価値を検討することもなくあっという間の出来事。
 新しいことをやるのではなく、波風を立てず現状を維持するための仕事。この新しいボスの仕事観は前のボスとは全く逆らしい。