緊急招集。

 派遣会社の支所長がボスに呼ばれてやってきた。通常来院する際は院内のマネージャに事前告知するので、急に顔を見せた支所長の姿にマネージャは異常を感じ取ったようだ。
 支所長はボスと面談後、ただちに派遣職員内のリーダ級の人たちに順次個別面談を始めた。それもマネージャは知らされておらず、面談から戻った職員を捕まえては何を陰でこそこそしているのかと詰問している。そんなもの、どう考えても先日の一件に関することに決まっている。

 夜、医事係の全員が帰宅した後でボスが教えてくれた。今回休職することになった派遣職員を診察したDrがその状態の悪さに驚いて事務局長に警告したのだそうだ。
 普段全く仕事をしない局長だがDrの怒りに蹴飛ばされるようにして支所長に状態の改善を要求したというので、近日中に何らかの動きがあるのだろう。
 
 派遣社員だからと軽く見られまいと、自分の仕事に強烈なプライドを抱いて自分や他人を叱咤しながら働く人がいる。その一方で派遣の気楽さを好んで働く人もいる。正規職員の責任を重く感じる人と、正規職員の立場に甘んじて日々を過ごす人がいる。俺の周りにはその全部の類型の人たちがいるが、中々うまく噛み合って仕事ができるものではないようだ。