業務の配分。

 デスクワークとシステム保守作業の配分に悩む。
 現在は予算の削減によりクライアントPCの保守契約がないので、故障が発生すると一元的に自分達が修理作業を行う、自家保守を行っている。
 ストレージが故障したなら、RegenerateHDDやらFinalDataやらを使ってデータのサルベージを行いつつストックしてある新品のHDDに移植したり、キーボードやモニタが死んだならやはりストックしてある同系機種を使ってのカニバレーション整備を行うわけだ。それで対応できなければ初めて業者に修理を依頼することになる。
 以前はそれが可能な時間的な余裕があった。むしろ、業者に修理に出して半月かかるより、情報部門が保守を行うことでMTTRを短縮することを期待しているのであり、また保守予算がないためそうせざるを得ない面もあった。
 ただ、自分たちがそれで徹夜することになり残業代を請求したとしても、それは保守予算とみなされないため必要性なしとして支給はされない。なおかつ、保守予算がなくても保守が実現できているとして、保守予算の増額にも繋がらない悪循環が続く。

 修理対応を求められる機材の数とMTTRがこの1年は特に多く、長くなる傾向があった。
 今日の時点でも自分のデスク上には復旧作業中のHDDが2台あり、また新たに発生した故障が2件。それ以外に今月中にセットアップしなければならないPCが50台あり、当然のことながら保守作業以外の通常のデスクワークが大量に残っている。
 
 今日発生した故障の対応のために当該機材の設置部門へ赴いた際、そこのリーダがぽつりと言った。「新PCの配布、まだなのかい?」
 申し訳ありません、多忙で遅れているんですと返したが、件のリーダは非常に不服そうな表情で「忙しいのは分かるが、こっちも古い機種ばかりで困る。なるだけ急いで欲しいんだが」と言う。
 希望に応えたいのはやまやまだが、今まさにこの部門が壊したこの機材の修理で、また俺の一日が潰れてなくなるのだ。
 
 以前の勤務先である病院でも、予算削減のためクライアントPCへの保守契約は行えなかった。そのくせクライアントPCの故障は診療の可否に直結するため、仮に保守契約があったとしても一次対応は唯一のシステム管理者だった自分が行う必要があったので、その辺は今と変りない。ただ、病院では一次対応を行うスタッフがいなかったことが初期のシステム運用に致命傷を与えていたため、システム管理者を後付で配置した経緯があった。
 今の職場では、少なくとも人の命に関わるようなものはほとんど何も運用していない。であれば、他の…本来の…業務を圧迫させてまで、無理に対応し続ける必要はない。
 
 考えた結果、自家保守を止めて全ての故障は業者へのスポット修理で一括対応することにした。
 予算がなければ、修理は不可能として放置しておけばいいのだと。
 果たしてこれはサボタージュか?。