収穫なし。

 結局何も買わないまま、私は秋葉原を後にすることになってしまった。
 駅前の広場に戻ってきて、そこで初めてメイドコスの3人組の女性を見た。アキバ観光にやってきたらしい非ヲタの人々の群の中で何かの宣伝でビラを配っているようだったが誰も足を止める様子はない。それが電車男から始まったアキバブームがとっくに終わっている証拠のような気がした。
 新品しか扱わない家電店も中古パーツ屋もジャンク屋もソフト屋もヲタもゲーセンも何もかもが一緒くたになって圧縮機で固められていた秋葉原を楽しみにして来たが、率直に言って随分期待はずれだった。
 確かにそれなりにその手の店はあるのだが、入って商品を眺める前の、或いは店に踏み込む前に感じるはずの期待感がほとんど沸き立たない。秋葉原でなければならない商品がないと分かっているからだろうか。大手の店にある商品も小物を扱う店の商品も大抵は地方でもネット通販で買えてしまうものばかりだ。それとも私が老け込んだからか?
 どちらが私の落胆の理由かは分からない。