移行開始。

 IS11TからBlackBerry KEY2への移行作業を開始した。
 
 IS11TはいわゆるSIMロックが掛かっているので、最終的にはauショップの店頭でロック解除とSIMの交換を受ける必要があるが、それまでにデータの移行だけは済ませなければならない。
 移行を実施する目標は連絡先リスト、キャリアメール及びCメール・SMSの送受信履歴、LINEのトーク履歴、本体ストレージ内の画像等のユーザデータ、それ以外に可能であればブラウザのブックマークを想定する。
 さてユーザ側で端末間のデータ移行を行うにはどうしたらいいか。今までIS11Tの内部ストレージのバックアップはあまりきちんと行ってこなかった。WEBでダウンロードした画像等はSDカードへ保存していたし、Evernote等のクラウドサービスを使うことで内部ストレージにしかないデータというのは極限してきたつもりだった。
 …メールとLINEのトーク履歴を除いては。
 メールのうちキャリアメールは機種ごとに管理方法がかなり異なるらしく、市販のバックアップアプリでも対応している製品は少ない。またLINEはいわゆるクローンによる覗き見対策のためか2台以上の端末で同時にログインすると前回ログイン時に使用していた端末から全てのログが削除される仕様のため、端末乗り換えにはかなり神経を使うようだ。

 作業着手に際していきなり問題にぶち当たった。
 IS11Tは何せ本体ストレージの空き容量が貧しい。遅い重いは我慢できるがこの空き容量不足がIS11Tの最大の欠点だった。1年以上前から何のアプリも追加できず、また導入済みアプリのアップデートもできなかったのだ。ということはバックアップのために何らかのユーティリティをインストールしたくてもできないことになる。
 代替策を探したところ、「JSバックアップ」というアプリにAndroid版とPC版があり、無償版であってもかなりのデータ種がPCへバックアップできることが分かった。少なくともAndroid版をIS11Tにインストールできれば…。
 守るべきデータを極限するつもりで既存アプリの削除を始めた。とにかく使っていないもの、今では使えないもの、片っ端からアンインストールしていく。その結果、空き容量は30MBから一気に100MBに拡大した。
 早速JSバックアップをインストールし、IS11Tで取得可能なデータを全てPCへバックアップした。JSバックアップではUSBケーブル等による直接接続ではなく、同一無線ネットワークに存在するクライアント同士を検出して接続する。PC側では端末の識別をユーザにIPアドレスを指定させる形で行っていたのが興味深い。というのもPC側のJSバックアップに使用した端末を登録する機能があるのだが、DHCP環境下では次回使用する際にIPアドレスが異なる可能性があるので、どう対応するのだろう。
 ま、それは余裕がある時に。
 
 さて、PCへのバックアップはできた。
 できないキャリアメールについてはIS11Tのメールアプリ自身が持つエクスポート機能でSDカードへ保存した。
 後はLINEである。
 LINE公式サポートでは、端末移行の際の手順をわかりやすく説明しているが、それでもWEB上では手順を誤ったためかトーク履歴も友達登録も喪失してしまった事例が多数見つかる。
 俺も手順を読み返しながら着手した。まずはLINEを起動して友だちメニューへ行け、か。これもこの最初の手順でトラブルだ。
 Android2.3以前の環境は、LINEv6以降はサポート外となった。LINEv6自体もサポート終了済みである。こういうことはどのようなソフトウェア・サービスでもありうるが、LINEの場合は少し徹底している。Android2.3上で既存のLINEアプリを起動すると、恐らくサーバへのログイン時点で旧環境であることを検出して「サポート外環境なので使用できない」とエラーを表示して強制的にGooglePlayストアでのダウンロードにジャンプしてしまう。
 LINEの新バージョンはAndroid2.3では動作しないため、IS11Tに仮に空き容量があったとしてもインストールできない。
 つまりIS11TのLINE上ではもはや何の操作もできないのだ。
 いきなりお手上げである。
 
 元々いけ好かないLINEサービスであるが、こんなことで躓いたことが腹立たしく他に手はないかと調べてみた。
 すると、素晴らしいことに今インストールしたばかりのJSバックアップの有償版ではLINEトーク履歴を含めたデータを新旧端末間で直接移行できるらしい。公式サイトにたった一言だけ言及されているが、機能として明記されていないので不安ではあるが…。
 IS11TでJSバックアップの有償版をアクティベートすべくメニューをタップすると、「この機能を使用するにはGoogle Play開発者サービスの更新が必要です」と警告が表示される。
 やっと空き容量作ったのに、またダウンロードかよ…。
 簡単に書いているがここまで一昼夜掛かっている。
 相当イライラしながら、再び削除できるアプリを探し始める。プリインストールアプリのうち、既に公開停止しているものは削除を躊躇していたが、LINEさえ救出できればいいのだと腹を決めて削除。
 削除。削除。
 削除。
 
 …。
 ……。
 ほら、やり過ぎた。
 何を思ったかGoogle Playストアアプリまでアンインストールしてしまったのだ(正確には、アップデートのアンインストール)。
 これによりストアアプリはIS11T購入当初の「マーケット」に戻ってしまった。ストアアプリが接続するアプリストアサーバは当時と仕様が変わっているので、旧アプリであるマーケットでは接続できない。
 やってもうたと未明の3時に頭を抱えたが、どこかからGoogle Playストアアプリのapkファイル(Androidのアプリケーションパッケージファイル)が入手できれば手動で再更新できるかもしれない。WEBを探すと同じようなトラブルを起こした先達がいて、Android向けの各種apkファイルを集積しているWEBサイトの紹介記事を発見できた。ここから対象のapkをダウンロードしてIS11T上で展開したところストアアプリを復旧できた。
 作業ミスで多大な時間を失った。遅れを取り戻すべく作業を再開する。
 乾いた雑巾を絞り切るように僅かな空き容量を作り、PlayストアアプリでGoogle Play開発者サービスのアップグレードを試行したが、ダウンロード中に処理が中断し「Playストアでインストールに失敗しました。再試行するかキャンセルしてください エラーコード-15」とエラーメッセージが表示され、更新できない。
 なぜだ。ダウンロード保存用の空き容量すら確保できなかったのか。SDカードなんて当時としては大容量の32GBのものが刺さっており、空き領域もまだ10GB以上あるのに。
 しかもアプリに一瞬表示されるダウンロードファイルサイズは40MB程で、本体ストレージですら何とか保存可能なように思える。
 もしかすると本体ストレージではSDカードへ保存する前の処理の時点で一時的に使用量が肥大化して、今見えている空き容量では不足になるのかもしれない。勝手にそう決め付けた俺は、もはや残された数少ないインストール済みアプリのうちでLINE自体に次いで使用量の大きい、既存の古い(と思われる)Google Play開発者サービスをアンインストールした。
 これも悪手だった。この後、ストアアプリで何をインストールするにも「SDカードにアプリをインストールできません エラーコード-10(ちょっとうろ覚え)」とエラーが発生して処理が完了できなくなってしまったのだ。
 クソが。クソなのはやらかした俺自身なのだが。
 しかしながら逃げ道はあると思った。先程発見したapk集積サイトでGoogle Play開発者サービスのapkを拾い食いすれば復旧できるだろうが。危なっかしい逃げ道だが、もう後一手二手やらかせばIS11TはLINEバックアップ以前に文鎮化だ。

 一眠りして朝、主PCから改めてapkを探してみると、あった!。
 URLが長くIS11T側で開くのも面倒だったので、主PCでダウンロードし、BluetoothでIS11Tへ転送して適用することにした。
 apkファイルが50MB近くあるのでかなり待たされる。その間、先日からプレイを始めたPS4ボーダーブレイクで時間を潰す。
 20分程して見ると転送が終わっていたのでIS11Tでapkの適用を行おうとしたが「パッケージの検査中にエラーが発生しました」と表示されて中断してしまう。
 適合しないバージョンだったか?。WEB上でAndroid2.3をサポートする最後の開発者サービスを調べるとバージョン10.0が最終であるとされている。俺が選択したのは10.0.83だったので行けるはずだ。
 失敗した処理を手動で繰り返すべく、ファイルマネージャでIS11Tに保存されたばかりのapkファイルを検索した…が、何故か見つからない。時間のかかるIS11Tへの転送を何度繰り返しても、IS11Tのストレージ上にはそのapkが保存されないのだ。
 SDカードをIS11Tから取り外して主PCにマウントし、ここへ直接ファイルを保存してやるか。
 IS11Tをシャットダウンして本体からSDカードを抜き取り、主PCへ取り付ける。次いでなのでSDカードの中身全てを主PC側でバックアップし、更に次いでに画像等の複数のディレクトリに分散したファイルを一つのディレクトリに集約する等の操作を行い、SDカードをIS11Tにマウントし直してみた。
 …何と、それでもapkが見つからない。
 SDカードをもう一度主PCにマウントし直して保存内容を調べると、さっき確かに格納したはずのapkファイルは見当たらなかった。それどころか移動した多数の画像ファイルがまた元のディレクトリに戻っているではないか。
 ここでやっと気がついた。
 このSDカードは寿命で死んでいるのだ…。
 
 手持ちのSDカードに、今回代替に使えそうなものがないため、ここで作業中断。