撮影に歩く。

 旅行2日目。
 昨夜はT君を除く俺の部下と隣の係のH君とNさん、別の係のM先輩とOさんで2次会まで飲んでいた。疲労していたZ君が早々と寝込んだため日付が変わる前に彼をホテルへと連れ帰ったが、疲労は全員が感じていたはずだ。
 それというのもVRゾーン新宿でVR酔いをした我々が次に向かったのは屋形船での宴会だったためで、船酔いと酒酔いで少なくとも俺は死にそうになっていた。
 ホテルに帰り、最後にD君とホテル内併設の映画館で3回目の鑑賞となるブレードランナー2049を観て就寝したのは03時頃。
 2日目にはD君達とダイバーシティのRX-0を見物するはずだったがD君は起床できず。Z君は俺と共に銀座で中古カメラ屋めぐりをするつもりだったそうだが、単に彼個人の予定だと思い込んでいた俺は彼らより早く7時30頃にはホテルをチェックアウトした。
 向かった先は信濃町駅である。「君の名は。」を観た後に既に二度も訪れた場所なのだが、前回撮影した時にどうもしっくり行かなかったのでもう一度撮影を試みるためやってきた。最初の撮影と同条件、撮影に使ったのが6DではなくSD1Mというだけで、撮影結果はほとんど同一。

 しっくり行かないままだが、何がしっくり行かないのだろう???。
 
 続いてお台場のダイバーシティへ向かう。それにしても東京の鉄道網は便利にできている…。
 


 よく見ると…よく見なくても…脚や胴体は最初からデストロイモードで制作済、頭部のアンテナやフェイスガードだけがユニコーンモードの状態だ。以前のRX-78と同様に毎日所定の時刻になると稼働演出があるそうだが、この様子だとそれほど大げさなものではないようだ。
 以前との違いと言えばもう一つ、ユニコーンの正面には鉄パイプ組の櫓が立っていて、いくらか払うと櫓上でユニコーンとの記念写真を撮らせてもらえるらしい。
 広場で絵になりそうな場所を探しながら散策して演出時刻の11時を待つ。金髪碧眼の綺麗なお姉さんが嬉しそうにユニコーンと自撮りしていて、近くにはツアーガイドが掲げる団体名が書かれた昔懐かしいペナントを先頭にして、中国語や韓国語も飛び交う団体客が集散しつつ行進する。来た直後は意外に疎らだった人影も徐々に増え、やがて定刻間際になると櫓の下にはずらりと見物客が陣取った。
 突然スピーカーからSE音が鳴り響き、俺の隣に立っていた女性が驚いて飛び上がった。最初から露出しているサイコフレーム部分が赤く明滅し、第一話でバナージの手によりRX-0が発進する際に使われた楽曲「UNICORN」が流れ出す。
 見物客は何が起こるのかと固唾を呑んで見守っている。
 どこが稼働するのか中止していると、膝下と腰正面、肩の装甲が開き、最後に頭部のフェイスガードが降りて奥から顔面が押し出され、あのアンテナが開いてデストロイモード完成。
 流石に実物?と違い、全長が変動する程の変形はしなかった。やや落胆の声がし始める。
 一番がっかり感が漂ったのはこの後だ。作中でも何度か繰り返されたユニコーンモードへ縮退する際のSEが、まるでRX-0から気が抜けるように流され、先程展開された各部がバタバタと閉じて元に戻り…。
 これは日中観ても楽しくない。
 
 ダイバーシティ7階にあるガンダムフロント東京は改装中だと勝手に思い込んでいて、ユニコーンの周囲の散策に羽田への集合までの持ち時間の大部分を費やした。ところがトイレを借りようとダイバーシティのエントランスに入ったところで、とっくに改装が終わりユニコーンの公開と同時に再オープンしていたことに気づいた。
 残り時間はたったの40分。
 
 場内のガンダム00放送開始10周年記念展示には多くの腐女子の皆さんが集まっていた。
 えっ、あれから10周年!?。
 10周年…。
 そうですか…。