どこへ逝くのか。

 3月の三連休で、どこか遠くへドライブへ行かないかとN氏に誘われていた。昔は高校の同級生などと半年ごとに自動車旅行に行ったものだが、結婚して家庭を持つ者が増えてくると予定を合わせづらくなりほとんど行かなくなっていた。
 ハードオフからの帰りにN氏宅に上がって打ち合わせ。と言いながらダラダラとどうでもよい話をしているだけだが…。
 参加者は俺とN氏だけにしたいという。俺は学生の頃の友達で連絡がつく者を何人か誘いたいと言ったのだが、場当たりで行き先を変えるような適当な旅行に文句を言わないのはお前くらいだとN氏。そういう適当さを楽しめなくなっているほど無粋な連中ばかりじゃないぞと押し問答したが、どうも俺が名前を挙げた内の誰かと詳しくは分からないが昔ひと悶着あったらしく、無理を言うのはやめることにした。そのほか、さしあたり移動手段は足を固めて乗り心地が最悪のN氏のレパードはやめて俺のブリットを使うこと、寒いのは嫌なので少し南へ行くことにし、仮目標に房総半島を選定して具体的な訪問先と宿を探すことに。
 その後N氏が知事選挙の期日前投票に行きたいというのでレパードに乗り込んだのだが、投票所である市役所の地下駐車場の入り口までたどり着いたところで「この急傾斜では車体前後のバンパーを床にこすってしまうから」という全く訳の分からない理由で引き返す。こんな10代20代のDQNの真似事をして車に改造なんかしているからだと文句を言ったが意に介さないN氏である。
 車内で近況を交換していて、ふとお前の妹はどうしていると尋ねられた。つい先日彼氏と同棲するため上京したと答えると、何で俺にひとこと相談してくれなかったんだと怒られた。結婚相談所であまり合う相手が見つからないので、うちの妹がフリーならどうかと若干本気で思っていたと白状したので、馬鹿野郎、お前に義兄さんと呼ばれたら薄気味悪いわと答える。
 彼の最近の婚活の話など聞いていると気が付けばもう夕暮れ。
 正午過ぎくらいまでは雲ひとつない青空で、買った魚眼レンズを使って今夜早速夜景の撮影にと思っていたのに、15時頃から大粒の雨、そして陽が落ちた頃にはみぞれ模様となっていた。