バビロンの迷宮。

 院内のインターネット接続端末の一つでウイルス感染が見つかったと通報。
 ネットワーク構成の都合上、インターネット側でセキュリティ上のリスクが検出されても自分達にはアラートが飛んでこない。全て外部組織に任せざるを得ない状態。ただし検出されたことが分かれば、駆除等の後始末はこちらで行う。
モノが何かを調べると、「Browser Manager」なる正体不明のアプリケーション(browsemngr.exe)である。ファイル提供元は「PerformerSoft LLC」。これをウイルスバスターコーポレートエディションが「TROJ_GE.4F8820EF」と識別して警告を出しているのだった。
 はて、院内のインターネット端末にBrowser Managerなどというアプリケーションをインストールした覚えはない。少なくとも自分が使用している端末にはそんなものは存在しない。ファイル名でweb検索してみると、どうもIE向けツールバーであの悪名高いBabylon toolbarと共にインストールされることが多い関連アプリケーションのようである。コントロールパネル上で確認すると、当然のようにBabylon toolbarも発見された。
 どういうことかウイルスバスターはこのファイルを駆除せず「放置」している。そのくせ数十秒置きに検出するので、端末上のウイルス警告ダイアログにはあっという間に数百件規模の警告が表示される。この動作自体がウイルス感染と同等の支障をきたす原因だが、恐らく駆除するまで停止することはないのだろう。
 マルウェアであるBabylon toolbarを置いておく必要はない。なのでtoolbarと共にBrowser Managerも駆逐することにする。作成者も良心が痛むのか、あるいは善意のアプリケーションであることの偽装か、アンインストーラは備わっているので正規手順でアンインストールを実施。ところがアンインストーラが見かけ上正常に終了しても、exeが格納されたフォルダはそのまま残っている。Babylon toolbar側は素直にフォルダの削除ができたが、Browser Manager側はファイルの排他制御で削除に失敗する。
 プロセスの中には見つからない。サービスにもそれらしいものは登録されていない。では何がこいつを掴んでいるのか。
 Malwarebytes' Antimalware 1.75の検索を掛けたが目立ったものは検出されず。
 端末を再起動したところ起動後にはフォルダごと削除がなされた。
 感染元は不明のまま。