送別会にて。

 職場の送別会だった。ウチの係の女性と、別の係にいた女性の2人が退職する。
 ウチの係の人が処理していた仕事を誰が引き継ぐのか?。恐らくボスだろうとは思うのだが。
 宴会で隣に座ったS君が人事担当者で、もうこの時点で未発表の人事も全て彼は把握しているはずだ。
 先日彼がボツりと「Gungunmeteoさん、今年は苦労してもらいますよ」と言ったところからして、俺もほぼ確実に異動の対象になっていると思うのだが、酒に強く口も硬いS君から聞き出すのは難しいだろう。
 誰かがお前も係長になる頃合いだから…と言っていた。電算業務の、つまりウチのボスに変わってということだが、ボス自身が着任して1年だし、もしボスが別の業務へ転出するとして、俺と入れ替わりに病院へ写った先輩の方がキャリアも上で、病院は電子カルテの構築がほぼ終了したところで先輩をこちらに呼び戻して電算業務の指揮を取っていい頃合いだ。
 それにここ数年の自分の仕事ぶりとその成果を見る限りよい意味での評価は絶対にあり得ないと分かっているので、恐らく俺が電算業務から外れ、以前一時期一緒に仕事をしたI君が戻ってくるのではないだろうか。
 もう一人、これは俺がS君から採用試験での資格基準の相談に乗った転職組の新人がいるのだが、無事採用されたという話なのでその彼が新たに入ってくるだろう。
 今から別の仕事か…とぼんやりと思いながらビールをすする。
 一次会の会場だった旅館を出て市内のカラオケラウンジに移ったが、一曲目からZ君が俺に歌わせようとおかしな曲をリクエストしてきた。一次会で疲れたせいか歌う気がなかったが、ふとI君が俺に「この課で最後の一曲ですよ」と耳打ちしてきた。I君はある事情で春には今の業務から外れることが決まっている。というわけで人事からは誰よりも先に異動先を聞いているはずだ。その彼がこう言うのだから、別課への異動で間違いないということか。もっと突っ込んで聞きたかったがそれは叶わなかった。
 その後、ウチのボスとZ君とで3次会へ。あまりボスと飲みに来ることはなく、私的な話をしたことがなかった。ボスはしきりに、お前が係長になればシステム保守の知識がない自分はさっさと別部門へ異動させてもらうのにと繰り返す。無理に決まっていると返すが、自分の知らない所でボスに色々気苦労をさせているのが感じられる。
 今のところへ配属されて6年が経つ。ここの基準で言えば既に長い期間でありいつ異動しても不思議ではないが、自分が次に行くべき場所が思い当たらない。したい仕事もないというのが現実だろうか。