異動。

 今日の人事異動の発表の中に俺の名前が混じっていた。なんと…と驚くべきか、やはりと言うべきか、古巣の総合病院医事課に戻ることになった。毎年2割の人間が異動していく計算だが、この6年は異動なし。先日から色々と異動を伺わせる情報を耳にしてはいたが、かなりの予算を投じて着手した仕事もいくつか残っており、内心は少なくとも今の業務から外れることはないだろうと思っていたのだった。
 予想通り俺の席に2年前までいたI君が戻ってきて、更にIT企業でSEをしていた中途採用者が追加される。俺がいた時には実質俺一人だったというのに、いつも俺が異動する後には複数の人間がやってくる。何となく不公平を感じるところだ。意外だったのはあれだけ異動したいと言ったボスが変わらず続投すること。ウチの係から同時に2人がいなくなるので業務の継続性を考えるとボスも入れ替わることはできなかったようだ。
 6年前に俺と入れ替わって病院勤務となった先輩が、やはり今回も俺と入れ替わってこちらに来る。しかしこれまではお互いにIT化業務の専門家として勤務していたが、先輩は昇進と同時に別の分野に進むことになった。
 医事課で何をやるのだろう。先輩に連絡して尋ねてみたが「まだ決まっていない」という。今回の異動では医事課の半分が入れ替わる。コアな業務を担当していた者がいなくなるため、業務分担をどうするか、係長が頭を抱えているらしい。
 ただし先輩曰く、残留するもう一人のIT担当者と共にシステム運用に携わるのは確実だそうだ。