新人がやってきた。

 新年度の業務開始。
 異動によって当係から長年システム担当者として活躍してきたY君が去り、新たに総務課で俺の後任だったS君がやってきた。もう一人、新人のM君も配属された。控えめだがとても真面目そうな好青年だ。これにより数十年の長きに渡り女性職員多数であった医事係の男女比が逆転したこととなる。俺が最初に入った時は男女比が1:15だったことを思うと、業務環境の変化が空恐ろしくなる。
 Oさんも医事係から去り、院内の別係に配属された。新しい業務を託すのにも本人の前向きな気持を引き出すためにボス他色々苦労したが、年末から本人の意識も変化しこれからポジション相当に活躍するだろうと思われていたところで、正直に残念に思う。
 Oさんの業務は新人のM君に大部分を引き継ぐ。Y君の業務はS君へ、そしてその補助にI君が付く。俺はS君が完熟するまでシステム管理の主務者に戻った気でやれとボスに指示されたが、日々の出来事を全て片付けながらあれもこれもと中々付いて行くのが大変だ…。
 
 同じ事務局内全体で見れば他にも入ってきた人々がいる。困ったことにそのうちの一人は新人の頃に私的なトラブルで大揉めした加害者で、経緯を知っていた先輩は笑いながらどうするかと声を掛けてきた。俺の方はもう終わった話なので何でもないが、相手は気にしているのではないだろうか。人の性格にまつわる問題なので、彼の側が治っていなければ別の被害者が出るだけだろうが…。
 
 診療報酬改定で、電子カルテも医事会計システムも設定変更が行われたが、例年に比べれば不具合はわずかだった。それでも外来から報告されてきた会計算定上の不具合を解決すべく、S君とI君に指示しながら対応作業実施。I君はY君の適切な指導を受けてこの半年でシステム管理者として大きく成長しており、正直なところ細かい操作はI君からの指導で十分な印象である。
 
 夕方、新たに着任した事務局長以下で管理職員が集まり打ち合わせが行われた。各係の懸案を確認し合ったが、一つ俎上に上げられなかった課題があった。先月Y君と少し相談をしていた課題だが、ボスにはまだ打ち明けていない。
 つまりはシステム管理者業務の完全外注化である。
 さあ、どうするか…。ボスは反対するだろうな…。