無縁社会。

 日付も変わろうとしていたころ、病院から電話が入った。勤めていた当時の上司からで、救急外来で亡くなった女性の葬儀代について、唯一の親族である同居の息子が負担を拒否し「死んだ後カネが掛かると分かっていたら病院なんか連れて来ないで押し入れにでも放り込んでおいたのに!」と喚き、母親の遺体を病院でも誰でもいいから勝手に処分しろと要求しているが、何か公的支援の手続きはないかとの相談。今日が年金の支給日なのでそれを充てたらどうかと諭すと、それを使ったら俺の毎日の飯がなくなるから嫌だとのこと。
 市町村レベルでは、一般的には公共火葬場の使用料と各種証明書の発行手続きにかかる数万円が最低限必須の負担額になるだろう。生活保護受給者なら明示的に減免できるのがほとんどだが、そうでない場合=収入がある場合はそうはいかない。
 もちろん、その遺体を運んだり、棺桶に入れたりといった病院を出てからの手続きは自分でできなければ葬儀業者に頼むしかない。この辺の相場なら10〜20万円くらいかかるはずだ。
 詳しい人に念のため確認してからその旨返答した。結局はその息子に、役所で死亡届の手続きに合わせて相談しろとしか伝えようがないのだろうが…。
 しかし、身近なところでも簡単に行方不明の高齢者が発生する可能性があるものだ。