ビールを1杯。

 その後、当課の幹事3名で先の旅行の打ち上げと称して飲み会に。
 本来は今度の忘年会に予約した店の下見を行うはずだったが、幹事I君が欠席してしまい、また別の幹事Z君が独断で誘った同僚が連絡の行き違いで帰宅してしまうなどゴタゴタ。結局、肝心の店の下見はどこへやら、そのままただの飲み会になってしまった。
 ただの飲み会なら参加者は幹事に限る必要はない、というわけで毎晩飲み歩き帰宅しないことで有名な人事担当主任をご招待したところ、この主任に引きづられるようにして3軒をはしごすることになった。
 2軒目の店でZ君と「組織崩壊した組織の立て直し」について話す。その崩壊組織の具体例として、以前勤務していた病院の医事課が真っ先に取り上げられてしまった。自分がいた当時の医事課の組織崩壊がかなりひどく人事担当の間でも語り草になっているらしい。
 俺はその時の課長とその取り巻きの管理職の無責任さが背景にあり、なおかつ若手にも自分たちと同レベルの管理職が執る指揮命令に服従しようという意識自体がなかったことが原因だと思っている。しかしZ君曰く、階級や指揮権など考えなくとも、組織の中でその状況を不満に思う者が本当にいたならばその者こそが改善に向けた取り組みを行ってもよく、仮に自分がその組織の中にいたなら多少上司と衝突しても黙っていることはなかったと言う。
 男性3人でしばらく頑張っていたが、あまり話も盛り上がらない。主任も興が乗らない様子で、2軒目で帰宅しようかという話になっていた。
 普段の飲み会ではアルコールを全く飲まない俺が希望者をブリットに乗せて送り返す役回りなのだが、生憎と今夜はビールを飲んでしまったためにそれもできない。
 通りに出てタクシーを呼ぶかどうか話していると、主任が向こうの店に知人グループが入っていくのを見たと言い出し入店してしまった。主任はかなり酔っていたためこのまま放置するのも宜しくないというわけで我々も後を追う。
 主任の知人はどこにもいなかったが今更帰るわけにもいかない。そんなこんなでダラダラと水割りとコーラをあおっていると、我々の後を追うようにして女性3人が入ってきた。
 Z君は目を輝かせて「俺ちょっと声かけてきます!」と彼女らのボックス席に乱入してしまった。相手に迷惑がられるかと思いきや、当課最年少で6歳上の妻を持つZ君、3人ともこちらのボックス席に連れてくることに成功。
 ふと彼女らの顔を見ると、何と全員知人の看護師。
 うう。やめてくれ…。