新型ATM、その驚異のメカニズム。

 平成15年ぐらいから記帳していない預金通帳があった。
 最終ページまで記帳が終わっていて、あと何行か印刷したら通帳更新をしなければならなかったが、仕事の合間を縫って口座開設店まで更新に行くのが面倒で放置していたのだ。
 そのうち通帳も見当たらなくなってしまったがカードは手元に残っていたので特に不都合を感じることもなく、何年かに一度届く記帳取りまとめ通知を見てはその通帳の存在を思い出すこともある、そんな感じになっていた。
 先日、出かける前に多少現金を下ろそうとATMに行った際、バッグの奥から偶然その通帳が現われたのだ。
 もちろん今ATMに通帳を入れれば最終行まで印刷された後、「口座開設店へ更新に行け」と機械に指示されることになるだろう。だが、その少しの空白行を埋めたくなって、ATMに通帳を放り込んでみた。
 暗証番号を入れて、通帳に印字が始まる。ところが、たった数行の印字にえらく時間が掛かっている。打鍵音は止んだが画面の変化はないまま3分ほども待たされてしまい、そのうちバタンゴトンとATMから聞いた事がない奇妙な音が出るようになり、5〜6年も放置した古い通帳を入れたおかげでATMを壊したのではという不安が襲ってきた。
 いよいよ目の前のインタフォンを取って行員を呼ぼうかとしたその時、ATMの画面が切り替わった。

 「新しい通帳を作成しています」だって!?。
 間もなく、ディスペンサから古い通帳とともに、真新しい通帳が現われた。
 6年分の出入金記録はさすがに取りまとめ行に集約されていたが、この数か月分の記録が印刷された紛れもない新しい通帳。
 …なかなかやるじゃないか。というかもっと早くにやってみるべきだったと激しく後悔した。
 なぜなら、6年分の取りまとめ行にある合計払出額が想像を絶する金額だったのだ。
 カネの流れはしっかりつかんでおきましょう。