青い彗星。

 ネオワイズ彗星を撮影する機会を窺っていた。
 7月に入ってから、撮影できる時間帯は全て曇天続きだった。
 先週末に一度だけ晴れた日があったが、彗星が北西の方向に観測できる高度まで上がる時間帯だけ、どういうわけか肝心の北西方向に雲が掛かり全く見えなかった。
 観測できるのが概ね今月末までとのことで、もう無理だろうと半ば諦めていたのだが、今日もまた時折雲の切れ目があり、もしかすると撮影できるかもしれないと考えて夕暮れの遅くに観測場所まで出かけてみた。
 まず広角レンズを使用して北斗七星の下を中心に長時間露光で撮影。再生して画面上で彗星を探す。拡大して調べるうち、他の星とは異なり青い滲みのような天体が見つかった。これだ!。
 SIGMA 150-600mmに付け替えてその周辺を少しずつズームアップし、彗星がファインダーの中心に入るようにレンズを指向しながら撮影していく。
 彗星はもう太陽からかなり離れてしまっており光度が落ちているため、光学ファインダーでは全く見えずライブビューモードでもほとんど見えない。なので撮影したコマの位置からカンで指向方向を探っていく。微動雲台のような便利な道具もなく、一度ファインダーから逃すとまた焦点位置を広角側に戻して一からやり直しだ。
 何度かこれを繰り返した結果、やっと最大望遠で彗星をファインダーに収めることに成功した。
 赤道儀はZさんから借りたままのナノトラッカーがあるが、ボディとレンズの重量が耐荷重を超えて破損の恐れがあるため使用できなかった。このため、後でコンポジット合成を行うことにして4~6秒程度の比較的短時間の露光設定で10コマほど撮影を実施。Digital Photo Professionalで合成した。

 EOS 6Dのセンサーでは高ISO設定の長時間露光では長辺方向にいわゆるバンディングノイズが強く発生する。
 彗星のイオンテイル・ダストテイルを全て画角に収めようと縦位置撮影を行ったが、せっかく僅かに写り込んだイオンテイルがバンディングノイズに沿うような配置になり、ノイズとの識別が難しくなってしまった。
 どうせ構図的にベストな位置に持ってくることは困難だし、余白をトリミングする前提で横位置で撮影した方がよかったと思われる。
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 何事も練習だとYさんは言われた。…とても機会が少ない被写体だから次にいつ練習できるか全く見当は付かないが。