カレンダーの中の微笑み。

 隣の部門へ復帰してきたZ君とは2ヶ月ぶりの再会だったが、思いの外病状が進行していたようでフロアを移動するのにも杖を手放せない状態だった。以前は快活な男だったが、新しい配属先で遠慮もあるのか口数は少ない。
 彼の新たな相方となった若手職員は生真面目が過ぎて扱いづらいと悪い評判もあるとS君から聞かされたが、デスク越しに見ていても特に問題は感じない。
 今回の配属先はZ君によれば第二希望だったという。希望に列挙したうちに配属されたなら良かった。特にその上司となる気難しいTさんと比較的良好な関係性を持てていたZ君なら人間関係の上でも適任なのだろう。
 
 終業後にZ君が自分で作ったというオリジナルの卓上カレンダーを見せてくれた。昨年、毎月撮影していた写真から1ショットずつ抽出してレイアウトしたもので、彼の長女を写したカットも散りばめてある。この数年での彼女の成長もさることながら、彼女の存在がZ君の闘病にも支えとなっていることが窺えた。