ヒューズ交換。

 県都に遊びに行こうと夕方遅く、一人でブリットを走らせていた。
 車内ではしばらく起動していなかったVAIOでメールの受信をさせていた。電源はシガーソケットからDC-ACコンバータを介して取っている。アクセスポイントはラゲージルームに置いた別のDC-ACコンバータで動作させているモバイルルータで、他にEMVに表示させているワンセグチューナ、BGM用のMuvo2など使用中だった。
 走行中、不意にそれら全ての電源が切れた。
 VAIOは自身のバッテリ駆動に切り替わって動作を続けているがWEB接続が切断されている。
 ヘッドライトやインパネの照明は正常に点灯している。となると、アクセサリ電源のヒューズが切れたというわけか。
 純正オーディオは動作したので、MDを再生して寂しさを誤魔化しながら運転を続け、すっかり陽も落ちてから道沿いのオートバックスに入った。
 ブリットでヒューズ切れは初めてだった。ブリットの操作説明書にはヒューズボックスに関する記載はほとんどなく、単に販売店に相談しろと書かれているだけで何の参考にもならない。IS11Tで検索するとエンジンルームと車内の2箇所にヒューズボックスがあることは分かったが、ヒューズの種類などについて言及したWEBサイトは見当たらなかった。
 アクセサリ電源のヒューズ位置は車内側ヒューズボックスだそうだ。それではそのヒューズを取り外して…と思ったら、ボックスへのアクセスは一筋縄では行かなかった。
 運転席の足元、アクセルペダルのすぐ裏側にそれはあった。体を押し込んでもボックスを覗きこむどころか手さえ満足に届かないではないか。

 DMC-FT2を足元に伸ばして写真を撮ってみるとボックスがアクセスパネルのさらにかなり奥に位置していて、ヒューズの取り外し以前に目的のヒューズに指が届くかどうかすら怪しいのが分かる。
 しかしこの時間ではトヨタ売店も営業を終了していて早くても対応は明日になってしまう。夜はこれからだというのに車内の電源が使えないのは困るので、どうにかしてここで交換を済ませることにした。
 ヒューズの容量は10Aであることは調べたが、モノが外せないのでヒューズの形状は不明のまま。オートバックスでヒューズを探し、品揃えの中からミニ平型のヒューズを探す。ヒューズボックスの大きさから恐らくこのサイズだろうと適当にあたりを付けただけだ。ヒューズ容量については本来の15Aと別に少し高めの20Aも買っておく。恐らく車内で使用する機材が多過ぎるのがそもそもの原因なので、配線が耐えられるのであれば少し余裕を持たせられないかと思ったのだ。また、ヒューズの取り外しに使うプラスチックのクリップもあったので200円ほどと意外に高いが併せて購入。
 暗い駐車場でLEDライトを頼りに作業を開始。ブリットの運転席から下半身だけ駐車場につきだしてペダルの中に頭を突っ込んでいる様は周りで見るとかなり変だったろう。全く見えないグローブボックスの中の小さい目的のヒューズをかろうじて届いた指先で確認しながら買ってきたクリップで挟もうと悪戦苦闘。そのうちクリップが指からはじけ飛んで、ヒューズボックスと車内の内張りの隙間から滑り落ちていった。さようなら200円。
 こんなこともあろうかと以前購入していた車載工具キットから先ほどのクリップより遥かに巨大なペンチを取り出して、邪魔なアクセルペダルを押しのけながら必死にヒューズを掴んでみる。寒いし雨は降ってくるし、だんだん手が冷たくなってきて気が萎えてきた。
 もう諦めようかと思い始めたところで、ようやくペンチに手応えが来た。違う位置のヒューズを掴んだ気がしないでもなかったが、構わず引き抜いてみた。抜けてきたヒューズは目的の15Aで、改めて写真を撮ってヒューズボックスの状態を確認すると幸いにしてアクセサリ電源の位置で間違いなかった。
 20Aのヒューズを代わりに押し込みエンジンを始動してみると電源が復帰した。ワンセグチューナもモバイルルータも正常に動作している。

 このヒューズボックス、もう少し保守が簡単な位置に設置できなかったのだろうか…。