重力の井戸。

 日が落ちた頃に県都に到着したが、やはり何をするか考えていなかったのでとりあえずまた映画でも見ることにする。
 貧乏人と家族連れとめんどくさがり屋の味方、小規模商店と日本国の天敵である反日企業イオンに入店。映画の上映時刻を確認すると一時間近く余裕があったので、ふらりと買い物へ。行き先は家電コーナーである。
 大規模家電店の影に隠れがちだが、こういうショッピングモールの電器店はなかなか馬鹿にできない。なぜなら商品が入れ替わらないので意外な掘り出し物がホコリを被って眠っていることがあるからだ。大昔、県外へドライブに出かけた際にその地のローカルなショッピングモールのカメラ屋で、プリンタ内蔵のデジタルカメラの未開封新品をほぼ捨て値で買えたことがある。つい最近までよくあったのは国内生産が終わったフロッピーディスケットの大手ブランド未開封パックが50枚1000円で山積みされているパターンだった。もちろん買い込んだが、実家には20年前にやはり大量購入したが未開封のディスケットが朽ち果てるまま死蔵されていることはかなり記憶の彼方に押し流されてかすかにしか見えない。
 さて今回は流通在庫がかなり減ってきたSANYOブランドのeneloopである。悪評高いPanasonicロゴ版のeneloopは、SANYO版と比較すると放電特性が劣るという記事を見たことがある。生産設備をそのまま流用しているはずなのに何でそんなことが起きるのかは分からないが、買うなら当面はSANYO版と決めている。
 というわけで電池コーナーを見に行くと、あったありましたよSANYO版。しかも便利なUSB給電・充電も可能なモバイルブースターKBC-E1ASが8個。その内、製造年月がより新しい2011/07製造のものを2個購入。3,000円なり。
 この製品は単三形が2本組の構成しかないが、どうせなら4本組のものも発売して欲しかった。一眼レフ用の外部フラッシュ電源や非常用のバッテリーグリップでは4本組で使用することが多いからで、また大容量バッテリを使うスマートフォンへ給電する際には単三2本で計3800mAは若干容量が少ないと感じられるからだ。一般的な急速充電器とのセットでは4本組が普通だし、できれば今後の商品展開でぜひ検討してもらいたい。
 
 妻に見られると、また無駄に乾電池を増やしやがってと怒られるので素知らぬ顔で映画館前に戻る。
 今回こそは「ゼロ・グラビティ」である。と言うかこの時間だとそれしか上映していなかった。字幕で観たいが3D版は吹き替えのみ。字幕の立体視は難しいのか、集中して視聴できなくなるのだろうか今まで目にしたことはないな…。
 実際観てみると吹き替えでも良かった。主人公の女性科学者は深見梨加が演じていたが、この10年程はシリアスな内容で女性主人公の作品だと何を見ても田中敦子というのが多かった(気がする)ので、何だか新鮮に感じられた。ストーリーが不自然に感じられたのはケスラー・シンドロームの原因がロシアの人工衛星廃棄がきっかけとされていたことで、廃棄のためにミサイル攻撃となればほんの数年前に中国が実施しているのでそちらのほうがより真実味が増しただろうと思われた。
 ケーブルを切られて回転しながら漂う主人公を見て「なぜAMBACで復帰しないんだ」と本気で考えていてふと我に返り、自分の脳がミノフスキー粒子に汚染されていると気がついた。バカじゃないのか俺…。