初のコスプレ撮影。

 またF氏つながりである。
 今月の初め頃から「小松オータムフェスティバル」なるイベントのCMが流れていた。確か去年も開催されていたはずだが行ったことはない。
 武者コスプレで街中を落ち武者狩りしながら走り回るというちょっとよくわからないイベントがメインで、その他市内の駐車場で痛車の展示会と、観光名所がコスプレ用に開放されているらしい。
 昨日のグラウンドゴルフで体が痛いが、動けないわけではないのでF氏に連絡してとりあえず行ってみた。
 F氏の例の10月イベント情報メールにもしっかり記載されていて、恐らくこれはF氏からの必ず行くという意思表示なのだろうと思っていたのだが、実際のF氏はというと行きたいのか行きたくないのか「ま、俺はどっちでもいいけどね〜」という態度である。嘘を付けお前もの凄く行きたいくせに…。

 市役所周辺がメイン会場だが、どうも痛車の展示会は違う場所だったようだ。
 隣接する芦城公園がコスプレ会場の一つだそうだ。まだ幼稚園児だったころ小松に住んでいたのだが、当時の記憶はこの芦城公園くらいしかない。
 市役所隣の文化ホールがコスプレの受付になっていて、その門にはゲートキーパー役のデザートカム姿の陸軍兵が立っていた。
 公園の中には散策する一般人に混じって、いくつかのレイヤーの集団と取り巻きのカメラを持ったいわゆるカメコがいた。
 こんなところに来るのは初めてなので、見学だけでも何か約束事があるのではと気になってしまう。しばらく様子を窺ってみる。
 レイヤーとカメコは同じグループかと思ったが必ずしもそうではないようで、カメコを伴わずに来ているレイヤーの多くはカメコから頼まれれば見栄えがよいロケーションに移動して撮影している様子。
 とりあえず自分もやってみようと、マクロスFのランカと2人で参加していた美人のレイヤーさんに声をかけて撮らせてもらった。
 実はこの人が何というキャラのコスをしているのか分からなかった。何かのゲームじゃないかと思うのだが、申し訳ない…。
 しかし撮影は結構難しい。レイヤーさんからするとポーズや表情にリクエストが欲しいらしいのだが、こちらも初めてなので一体どうやってリクエストを出せばいいのか勝手が分からないのだ。とりあえず「お任せで…」と逃げる。
 何枚か撮って気が付く。レイヤーさんは綺麗な笑顔を作ってくれているのに、どうしても顔が暗くなるのだ。どのレイヤーもアニメキャラのあの髪型を再現するため大きめのウィッグを着けているので、額に影ができるためのように思われる。
 仕事で地元CATVの撮影を手伝う時に人を取る場合は必ずレフ板を使うようにしているが、私物では持ってない。衣装は白色が多く露出を高くすると白飛びしてしまう。外付けフラッシュも置いてきてしまっているし、どうしたものか。
 アドバイスが欲しくてF氏を振り返ると、この男はいかにも「僕他人です」というオーラを発しながら遠くをうろうろしているではないか。こいつめ…。
 物事は全て練習である。撮り方についてはもっと勉強が必要だ。
 ヘタのくせに長時間モデルをお願いしていても失礼なだけなので、撮影はやめて少しお話を聞いてみた。衣装はオーダーメイドでかなり高いらしい。コスプレ用に既成品も販売されているが生地が安物なのであまり使わないそうだ。
 また、撮った画像はレイヤーさんに渡すのが礼儀だと思われたのでどうやって送るのか尋ねると、撮りっ放しで特に貰わないことも多いが、主にレイヤー専門のSNSで交換するという。となるとお互いのアカウントは交換する必要があるわけだ。
 ここで渡せる連絡先もないので、お礼を言ってお暇。