海洋堂フィギュアミュージアム。

 実はN氏との遠出の目的地とは、滋賀県にある海洋堂ミュージアムである。
 この俺の体調不良を見て前夜にN氏は出発を断念してしまい、その代わりの映画鑑賞でもあったのだが、自分としてはせっかくの連休がたった一度の映画鑑賞で終わってしまうのがやや悔しい感がないでもなかった。
 映画の後義妹宅に戻りしばらく休んだところ熱も下がり随分と具合が良くなったように感じられたが、N氏の方は既に明日の予定を入れてしまっていた。海洋堂ミュージアムまでは義妹宅からは片道3時間ほどで全く日帰り可能な距離だったので、情報をくれたN氏には悪いがやはり行くことに決めた。
 昨年からヲタ関連イベントに同行してもらっているF氏に声を掛け快諾を得て、翌日F氏宅を訪問しピックアップの後出発。
 高速をひた走り、午後やや遅くに滋賀県長浜市に到着。ブリットのナビでミュージアム付近に誘導されてきたが、このあたりは何故か意外に観光客が多い。臨時駐車場の手書き看板もちらほらと見えるが何かイベントでもあるのだろうか。
 ミュージアムはどうも車が入れない商店街の奥にあるらしい。商店街手前の駐車場にブリットを停め、愛用のKissDXをぶら下げミュージアムを目指してF氏とそぞろ歩きを始めると、いきなり目に入ってきたのは街角に飾られたマスターグレードRX-78。この長浜市黒壁というところは、何か模型産業と関わりがあるというのか。

 どうもこの長浜は何か城下町として有名らしく、それにまつわる観光イベントの最中の様子。
 商店街中程の商家風の店舗前では町娘に扮した女性が観光客と話し込んでいる。綺麗な人だがどうも町娘というよりはコスプレ的な着慣れなさがあって、最初にそういう印象を持ってしまった自分のヲタ的感性に軽く衝撃を受けてしまった。
 他にも"普通の"観光客が多数歩く中、この町娘さんはなぜか我々2人に向かって軽く会釈してきた。彼女がアピールすべき客層を理解していて、なおかつ「その客層」と初見で認知されるという現実が先ほどの衝撃を痛いほど後押しする。直後に、街角に貼り出された『コスプレ町娘イベント開催中』のポスターに描かれたやや萌味が効いたイラストを見て、あの町娘さんのターゲット客層が間違っていないことを再確認させられることに。
 やや道に迷いIS02のGoogleMAPも見ながらようやく海洋堂フィギュアミュージアム黒壁「龍遊館」に到着。
 入館料を払うとコインが貰える。これは受付前にあるガチャポン専用でお土産を兼ねている。1階は海洋堂のフィギュアとアニメグッズが揃ったショップで2階がミュージアム
 1階からの吹き抜けにはドーリア式石柱が3本、その上にはウルド・スクルド・ベルダンディの3女神が鎮座している。

 ミュージアム内はまさに海洋堂の技術の精華が詰まった夢の空間だった。展示のイントロには食玩用のスケールとは信じられない精巧なフィギュアの数々。中には販売当時自分がコレクションしていた懐かしいシリーズもある。

 戦車・軍用機といった昔からマニアが多いジャンルだけでなく古代・現生動物・昆虫を忠実に再現したモデルがフロアに並ぶ様は博物館と言っていい。恐竜はまさに生きている当時そのままとしか思えない迫力がある。

 館内は特に撮影禁止の指定はないので気に入った展示品を撮って歩くが、ガラス越しの撮影になると分かっていてどうしてPLフィルタを着けて来なかったのだろう。普段はどのレンズもPLフィルタを着けっぱなしなのに、先日たまたま室内撮影をするため保護フィルタに付け替えたままだったのだ。
 さらに進むと、徐々にアニヲタ的ジャンルの展示物が増えてくる。パチスロ化を原資として最近再び展開されるようになったエヴァンゲリオンを題材にした展示が多かったが、個人的にはガレージキット知名度向上にかなり貢献したはずのファイブスター物語からKOF、LEDミラージュもしっかり展示されているのがうれしい。
 もちろん、放送当時大ハマリしたパトレイバーも、押井守つながりか人狼も。バンダイ製のプラモデルもよく作っていたが、やはりガレージキットのディティールの高さには敵わない。



 学生時代に近所の模型屋の奥にそっと並べられていた懐かしいキットもある。うる星やつらのラムやナウシカ、ウルトラ警備隊の装備品など伝統的なオタク御用達のキット、変わったところでNothropの全翼実験機N9Mも。

 そこを過ぎると、男性アニヲタ・萌ヲタ歓喜の美少女フィギュア展示エリアに。
 既にあれから25年も過ぎたとは信じられないセーラームーン、あまり詳しくないが元はエロゲらしいFateのセイバーなど、販売時の価格は1体数千〜数万円だったと思われるフィギュアが並ぶ様はまさに壮観の一言に尽きる。
 …が、パンチラ・胸部露出は当たり前の作品ばかり、我々の後に入ってきた家族連れのお母さんが「叶姉妹みたいなあり得ない女の人ばっかり、気持ち悪い」とつぶやいているのを耳にして、その場に長居すると趣味趣向を疑われる危険を感じてそっけなく通り過ぎる振りなどしてみたりする。


 振り返るとF氏が彼愛用のSONY αでセーラームーンをローアングル撮影している。が、彼との今後の付き合いもあるので見なかったことにした。せめて他の客がいない時にやるべきだと思ったのだがどうだろうかF君。
 美少女フィギュアエリアの隣は三国志シリーズの展示。F氏曰くあるジオラマ展示でキャプション紹介されている人物と実際に使用されているフィギュアが別人だという。トウタク?とされているフィギュアだそうだが、三国志を知らない自分にはどこを見て違いが判断できるのかさっぱり分からない。F氏が教えてくれた識別点を要約すると、デブかそうでないか、ということのようだ。
 他の見学客と混じって見学すると変な汗が出る内容ではあるが、ヲタ分を補給するに余りある素晴らしい展示だった。お土産用のガチャポンはグリム童話を題材にした食玩
 1階ショップでは普段2chアフィブログでしか見ることのないリボルテックの実物を買える。マクロスシリーズのキットを買うか逡巡しまくったが帰って飾る場所もなく断念。せめてもの思い出にと攻殻機動隊から「笑い男」と「孤別の十一人」のシールを購入。