その駆動音はバンシーの叫び。

 某姉様から、私物PCが電源投入直後に「次のファイルが存在しないかまたは壊れているため、Windows を起動できませんでした。\WINDOWS\SYSTEM32\CONFIG\SYSTEM」と表示され、WindowsXPが起動しなくなったので見て欲しいとの依頼を受けた。
 このメッセージではレジストリを構成するファイル群のうちSYSTEMが読めなくなったため発生するもので、この場合は変更時に自動的にバックアップされるレジストリファイル群のコピーを所定位置に書き戻してやれば正常に起動できるようになる、はずである。
 ただ、今まで実際に体験してきた事例では、何も理由なくレジストリが壊れることはほとんどない。大抵の場合はHDDに不良セクタが発生し、ディスク上の他のフォルダごと読めなくなっているものだ。
 それでも幸運に恵まれてファイル上書きで復旧できることを期待して、本体を預かった。
 当該機はBiblo NB70T。嫌な予感がする。というのは、実は先日から職場でも連続してBIBLOの旧型機に搭載されている東芝製HDD、MK3021GASが軸受破損で死亡する事例が起きており、復旧をことごとく断念しているのだ。これはMK3021GASの製品寿命が来たため同時期に導入した機材で故障が集中しているということもあるが、やはり同じ時期に購入しているNEC等他メーカ製PCではまだ問題がない。どうもMK-GASシリーズは流体軸受部分の潤滑剤の耐久性に問題があるようで、WEB上でも潤滑剤がなくなったあとの特徴的な悲鳴のような駆動音について言及された記事が大量に見つかる。
 NB70Tを起動してみるが、やはりエラーメッセージが表示されWindowsは起動できない。HDDの異常音は今のところ聞こえないが…。
 HDDを取り出してみると、MK1031GAS。死亡例が相次いでいるMK3021GASの大容量版だった。嫌な予感は確信に変わった。LB DriveWorks10で手元にあった別HDDにドライブコピーを実施したがディスク上の不良セクタが見つかり失敗。
 ファイル単位で救出を図るため別HDDに手動でMK1031GASと同じようにパーティションを作成し、ファイル属性を維持してコピーできるWinFD等でパーティション内のファイルを全てコピーしてみるが、やはり不良セクタにぶつかり失敗。
 職場でもよく使っているHDD Regenerator2011で不良セクタを潰してみるが、ディスクの後端部分に特に不良セクタが集中しており作業終了予想時間が100時間を超えてしまう。
 おそらく某姉様もこのBIBLOを年賀状の作成に使いたいはずなので、Windows環境の復元は事情が許す限りとして、先に読み取り可能ファイルを選別して退避を図ることにする。
 さて、とりあえず30日ぐらいまでに終わるか…。