中継中止。

 午前中から出先施設の端末故障対応。
 昼食で一旦職場に戻り、午後遅くに予定されていたイベントのストリーミング・CATV中継に備えて音声用アンプとストリーミングサーバを起動。
 そのまま再び外出して出先での作業を続け、中継開始時刻に間に合うよう帰路に着いたところで後輩I君からTEL。我々のストリーミングと並行して中継するCATVスタッフが映像・音声をミキサに入力できないと騒いでいるが、何か手はないかとのことだ。
 原因になりそうな部分を考えるが、CATVが会場内に設置しているカメラとマイクから得た映像は隣接する放送センタの常設ミキサ室へ光ファイバで送られている。会場内に中継の都度設置するポータブルのミキサは、設置するスタッフが時折接続を誤って正常に動作しないことがあるため、まずはここが疑わしい。
 音声だけであれば、かつてこちらが運用する音声用アンプから取り出していた時期があったが、今ではCATV側が独自のマイクを設置して独立運用している。映像もカメラ自体をCATVが持ち込んでおり回線は別。となればこちらから支援できることはほとんどないだろう。
 慌てて戻り会場にて双方の機材の点検。CATV側はポータブルミキサの配線は正しいという。すると会場に引き回した配線の断線だろうか。
 こちら側にも問題が見つかった。会場内用スピーカがほとんど音を出していない。アンプ側の設定を再確認したが異常を示すものは何もない。これもCATV側の不具合と何か関連があるのだろうか。
 放送室内ですぐ点検が可能な屋内配線は全てチェックしたが異常はない。アンプの電源を切って入れ直してみたがそんな事で復旧するわけもない。K係長をオフィスで中継モニタとし、I君と入れ替わりながらマイクテストをしてみるがスピーカが鳴る気配はない。
 あいにくとCATV側の技術責任者が打ち合わせで不在、トラブルの発覚が開始時刻間際だったため、今回は異例の中継中止。録画を急ぎ編集して本日中に放送することで代替するとの連絡を受け、我々のISDN基準のストリーミングだけで中継を行うことになってしまった。
 ストリーミングサーバへの映像・音声入力はカメラ・マイクから全く正常に行われているので一安心だが、肝心の会場ではほとんど音が聞こえずどうにも締まらない状況。
 やきもきしながらイベントが終わるのを待ち、会場内から人を追いだして改めて機材の点検。
 果たして壁に埋まったスピーカケーブルの断線か、はたまたアンプ内部の故障か。
 どっちにしても調査・復旧にはカネが掛かりそうだ。
 そう思いながら何気なくアンプの電源スイッチを切って入れ直した瞬間、いつもと異なる「バチッ」というアーク音がした。
 もしかして…会場にてマイクをとり何度目かのマイクテストを行うと、先程までのドタバタが嘘のように会場内に俺の声が響き渡った。

 打ち合わせから戻った技術責任者によるCATV側の調査でも直接の原因が特定された。会場からミキサ室へ映像を送出する光回線用のメディアコンバータが異常に発熱しており、一旦電源を抜いて冷却してから起動したところ復旧したという。
 メディアコンバータとアンプ、共通するのは同じ会場の電源を使用している点。この会場では、管理者が場内の電源を管理するためにブレーカーを操作している。もしかすると、ブレーカーが復帰した際の機材側への突入電流によって、それぞれ異常動作の原因となったのだろうか。