パソコン教室。

 金曜の夜は市内の保育所の保母さんを対象としたExcel講座を開いた。
 企画したのはI君だったがじゃんけんで負けて、その夜の講師は俺。
 セルに罫線を引いて表を作り、5〜6件のサンプルデータを入力してSUM関数で合計を出す、という簡単な作業を20名ほどの参加者全員で足並みを揃えて進めてみたがレベルの差が激しく、遅い人に合わせているととても2時間の枠内では事前に準備したテキストを完了できなかった。
 所長さんクラスでも今時文字入力ぐらいできるだろうと思っていたら、本当にローマ字入力から説明しなければならない。
 保育所でのExcel利用はどちらかというとテンプレ化された所定様式や名簿の作成など文書作成が主で関数などはSUMぐらいで十分らしい。むしろセルにどうやってうまく長文を入力するか、その方法を説明しなければならなかった。セルに長文を入力してもどうせフォントサイズ誤差でまともに全文字出力されるわけでもないが、意外とそのことは知られていなかった。
 文書作成ならWordでいけばどうかと思うのだが、「ワープロよりは表計算を使った方が高度」というイメージがあるらしく、需要調査の際もExcelの使い方説明を求める意見が圧倒的だった。
 ただ、ひとつのブックでシートを複数持てるため、一括処理したい複数の文書を取りまとめる手段としてあえてExcelを使っているという保母さんもいた。これは一太郎では実装されている機能だが、Wordにはない。
 Excel講座らしさを出そうと思い、終盤間際にDatediff関数で入所児童リストに年齢を出す見本や、男女別・年齢別にSUMIF関数で人数を勝手に出す方法を実演してみたが、大半の受講者は「何が起きているのか分からない」といった表情でスクリーンを見上げていた。
 自分やI君に異動がなければ次回以降の講座もあるのだが、その際はもっとやり方を改善しなければならない。
 ところで、その場でいろいろと話を聞いていたのだが、Wordでは作ってある罫線や文字体裁が操作しだいで簡単に崩れてしまうので、セルを基本に体裁を崩さない設定が可能なExcelを使っているという声や、Windows上の各オフィス製品よりは旧来のワープロ専用機の方が使いやすいという人がいた。
 Windowsによって高精細なGUIが普及しPCレベルでDTPWYSIWYGが実現されてはいるが、事務用途ではWordの微細な制御・編集は過剰機能になっている場面が多いのは実感する。同じワープロソフトでも一太郎では罫線に関して敢えて設定値可能な単位を文字単位・行単位といった大雑把なものにすることで罫線を多用する書式でも使いやすさを維持している。
 さすがは罫線を多用する日本型の文書様式に向いた一太郎だが、いかんせん導入数が少なすぎる。