破滅に向かって。

 今月中旬のある日。課長から呼び出された私は「今後システム保守部門はその業務を外部委託並びに他社と統合を進めることで3年後には廃止できる計画を立てるように」と命令された。
 昨年、この部門にやってきてから、前任者の先輩からコスト削減の一方策としての業務統合のための研究チームの委員の席を引き継いでいた。同業他社が集まったチーム内では、これまでに統合の経験がある他社と全くないこちらとでやや温度差を感じる場面が多かったが、早期の実現は困難であるとの共通認識があったと思っていた。
 しかし、どうやら私の報告書とコスト削減の必要性を見比べて、上は「すぐにでもやれる」と踏んだらしい。指示されたタイムリミットは遅くとも3年以内。保守の外部委託は、主要な委託先が遠隔地であることから自己運用時の人件費と比較しても回線維持費が高額になってしまうために行っていないだけであって技術的な問題は何もない。しかし他社との運用統合となると…。同一目的の業務でも手法が大きく異なるものが多いのに、どうやって整合性を取ればいいのか。
 今まで経験してきたシステム導入作業とは違う次元の困難さだ。業務範囲が広過ぎる。システムベンダーは恐らく協力を渋るだろう(コスト削減の手法・主導権を握れないのだから当然だ)
 ていうか、自分をクビにするための事業を自分でやるの?それなんて罰ゲーム?