路上にて。

 持病の通院日のため一日休みを取った。
 通院先の総合病院までは片道1時間強掛かる。例年の今頃は積雪でどうしても遅くなるが今年は全く降雪がないためいつもどおりの感覚でブリットを走らせる。
 往路の途中、長い坂の登坂車線で一台のステーションワゴンに追い付いた。やや高齢のドライバーなのか、トラック等を追い越したりせず静かに走っている。
 俺も澤野弘之のアルバムを聴きながらその車を追い越すこともせずしばらく走り、やがて道中の半ばまで差し掛かる。
 ある交差点の信号で停車した時にLINEが飛んできた。職場で何かトラブルでも起きたのかと身構える。
 「黒いマーク2ブリットに煽られているけどどこの警察に通報すればいいですか?」
 休職中のZ君からだ。
 よく見ると目の前のステーションワゴンはZ君の愛車だった。
 彼も今日は持病の治療のため、また別の総合病院に向かっている途中とのこと。
 お互い道中の安全と快癒を祈って別れた。
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 仕事には常に前向きなZ君が病気のために足踏みを余儀なくされている。本人の苛立ちはいかばかりか。