考え込む。

[仕事]考え込む。

 半年に一度の勤務評定の時期である。
 まず評価対象者本人が評価項目ごとに自己評価を記入し、何段階かに分かれてより上位の評価者もそれぞれ評価点を付けていく。特異値が付く項目には本人以外が評価理由を記載する。成果への自信の有無により自己評価時点で特異値が記載される場合、根拠がない特異値は差し戻され再提出させられることもある。
 今回俺が初めて評価するKさんは意外に自己評価が高く特異値もあったが、俺が見ていた限り特異値を付ける根拠が薄いと感じられたので殆どの項目で標準値とした。ただし、この評価の段階はかなり荒く最も標準値に近い特異値と標準値の基準の乖離が大きいので、それを埋めるように彼女の取り組みや挙がった成果について付記する。
 自信家のHさんは以前からこの評価制度自体が適正ではないと主張していて、特異値を理由に差し戻しを受けることにも不満を述べていた。今回提出してきた自己評価を見ると全ての項目が標準値だったのは彼女なりの意思表示だろう。
 先任士官D君は、昨年Z君と一緒に頭を抱えていた身だしなみの問題がほぼ完全に解決した。きっとデスクの向かいにKさんが座ることになったからだと思われるが、この点は仕事の成果とは関係は薄いがコメントに明記しておく。
 
 個々人の能力は高いし皆仕事に協力的だ。これで成果が挙がらなければ係長としての俺の責任である。