より高解像度へ。

 早朝。
 珍しく早く目が覚めた。
 主PCに向かい、ブリットのEMVの中古ユニットを探してみた。既に液晶のバックライト光量が下がり切って日中は視認しにくくなってしまったので、LED化するにしても液晶パネルを交換するにしても、実験台にする中古ユニットが必要だ。
 しかし検索結果はいつものように本題からどんどん逸れる。
 日が昇り切る頃に、面白いブログ記事にたどり着いた。
 EMVとは全く関係ない。
 その記事は「ノートPC用の液晶パネルは規格モノになっている」という内容だった。
 …えっ、各機種専用品になってるんじゃないの?
 今まで結構な数の各社のノートPCを分解してきたが、そう言えばM/B交換までやったことはあるもののディスプレイの液晶パネルを露出させるような分解はあまりしたことがない。今まで画面を割ったりすることがなかったからだが、まれにディスプレイのフレームに貼られた無線LANのアンテナにアクセスする際に見たときは、M/B側から伸びるディスプレイ信号用のハーネスは大抵液晶パネルに直接ハンダ付けされていてとても汎用性があるようには見えないものばかりだったように記憶している。
 どうやら、俺のノートPCの構成パーツの知識はかなり古いようだ。
 手元にあるノートPCで直ちに分解して確認できそうなのはVAIO VPCCW28FJと、春に購入して結局他の機種に乗り換えた13.3インチ、解像度2560x1440の中国製モバイルディスプレイ。
 直ちに分解作業に入った。
 まずはVAIO。液晶パネルに被さる化粧面フレームを外そうとしたが、どうも先に本体ヒンジからディスプレイ部を外しておかないとダメなことに気付いた。作業を進めたが、結局筐体のネジをほぼ全て外す羽目になった。やっとの思いで左右ヒンジにたどり着き、ディスプレイ部を分離してフレームを開けた。
 露出した液晶パネルは、俺の記憶にある昔の液晶パネルとは似ても似つかない形状だった。
 以前の液晶パネルはその気になればこじ開けられるような金属フレームで四方を覆われているもので、バックライトが死ぬとその金属フレームをこじ開けて内部にある光源を交換したりできたのだが、今取り出されたこいつは黒い樹脂でフレーム部分がしっかり固められ文字通り1枚の板と化しており、とても分解できそうにない。
 下端には薄型で両面20ピンずつ、合計40ピンほどの金属製コネクタが生えており、M/Bからのハーネスが刺さっている。
 パネルの背面にあるメーカーラベルには「LP140WH2(TL)(N1)」と記載されていた。LG製。
 コネクタとハーネスは簡単に脱着できる。耐久性はなさそうだが。
 さて、次に中国製モバイルディスプレイを分解した。こちらは恐ろしく構造が簡単で、筐体はネジ4本、カバーを外した内側にある操作ボタン基板と外部コネクタ基板はそれぞれネジ2本ずつ。このモバイルディスプレイはコネクタがすぐ死ぬことで有名だったが、それはそうだろうと納得する出来だった。
 肝心の液晶パネルは「LQ133T1JW01」、シャープ製。サイズがVAIO側のLP140WH2よりわずかに小さいこと以外、外観にほとんど差異がない。
 問題のコネクタも全く同一の40ピンだった。

 ってことは…サイズさえ合わせられれば、高解像度のパネルで簡単にリプレースできるわけだ。
 このVAIOの解像度はHDで今では全く不足である。というか職場では15インチで4K解像度のモバイルディスプレイを使っているので、これに慣れてしまうと主PCのFullHDでももはや物足りない。これがせめて2Kにでも更新できれば何とありがたいことか。

 しかし両パネルのコネクタ周辺を比較中に大問題を発見した。LP140WH2はコネクタが向かって左側、LQ133T1JW01は向かって右側にオフセットして配置されているので、単純に交換しただけではM/Bから伸びるハーネスの長さが足りなくなるのだ。
 ハーネスの経路を変えて、ボトムカバーの中央あたりに穿孔加工して取り出せばどうにか接続できそうだが、ジオニック社系MSの流体パルスシステムのパイプのごとくハーネスが飛び出してしまい不意の断線の恐れがある。
 Amazon辺りでLP140WH2と同様のコネクタ配置でより高解像度のパネルを探してみることにして、今日のところは筐体を閉じた。