6D購入。

 予定通りであれば今月半ばにはドイツ旅行。
 行くならせいぜい記録に残しておこうと考え直して見たが、手持ちの機材は今となってはさすがに古いKissDXである。
 銀塩当時なら、レンズとフィルムに金をかければボディはどうとでもなると言ってよかったが、デジタル化された現在ではセンサの旧式化がボディの寿命を決めるようになっている。KissDXは発売当時はこの価格で十分な性能を持っていたが、気がつけば暗所でのセンサ感度の弱さが目立つようになり、室内撮りや夕暮れの撮影で不満を感じるようになってきていた。
 SD14などもっと感度が悪い機種を併用していたので「まぁこれに比べれば」と目をつぶって来たが、今回の旅行の主目的が室内撮りになることがほぼ決まってきたため、どうせ海外に行くのなら新調しようかという気になってきた。
 ちょうど就職当時に全く考えなしに銀行の営業に言われるがまま作った住宅積立がとうとう意味もなく満期を迎えてしまった。今の自分は固定資産は作らないと心に決めているため、このお金をほぼ全て別口座にスライドすることになるのだが、ここから一部取り崩して機材の更新費用に当てることにした。
 もちろん妻にはこのお金の存在は秘密である。
 機種選定の基準は割りと簡単だ。これまで2世代に渡って使用してきたKissシリーズはいずれも購入して5年使って大体不満を抑えられなくなるような状態だったので、機能的には一段上位のCanon EOS 70Dにするか、画質ではより有利だがはるかに高価な5D Mark3のどちらかしかないと思っていた。
 一応大混乱に陥る少し前の2chで購入相談していたのだが、そこでは自分の使い方なら5D3が最適解だと答えをもらっていた。しかし5D3はボディだけで27万円、お得なはずのレンズキットでも35万円と、おいそれと買えるものではない。次点で5D3とセンササイズが同じで機能が限定された廉価版の6Dも紹介されたが、自分の使い方ならKissDXからステップアップするなら一気に5D3に移行してよいとのアドバイスだった。
 その一方で70Dの発売前のサンプルを見ていると、撮影に使用されているレンズの性能もあるのだろうが思った以上にKissシリーズと違いがないように感じられ、センササイズが同じならこれ以上高画素化しても画質には悪影響が出るだけだと思われた。まぁ、それは使い勝手で相殺できるかもしれないので実機を見てみることにしよう。
 というわけでボディ購入の際にはいつもお世話になっているカメラのキタムラ某店へ。
 
 いつも応対してくれていた年配の店員さんがいなくなっている…。
 展示されていた70Dを操作してみると従来のnnDシリーズの操作系は維持していて、かつタッチパネル操作も可能になっている。やはり多機能が売りなだけに使いやすかった。Kissシリーズとセンササイズが同じ70DにしておけばKissシリーズで揃えたAPS-Cサイズ用のレンズがそのまま使えるし、何せボディだけなら15万円以下と非常に安い。
 比較対象の5D3はというと、機能は最高、価格も最高(正確にはさらに高額・高性能な1DXもあるが…)。ファインダは非常に見やすくMFも全く苦にならない。内蔵フラッシュはないので外付けフラッシュが必須。シャッター速度はもちろん1/8000秒までOK。すばらしい。
 しかしながらやはり価格が大問題だ。それに実は父親が5D2ユーザで、類似した機種に重複投資するのが無駄なことに気がついた。なぜ昨晩のうちにそのことに思い当らなかったのか。それならまた別の機種で悩む時間ができたというのに…。
 選択肢の片方がくだらない理由で消えてしまった。そうなると5D3の上下のモデルで、下は7D、上は1DXか。
 7Dは発売されて4年経過しそろそろ次機種の噂も増えてきているので除外する。1DXはプロ用途で問題外。
 とすると、次点扱いだった6Dと70Dとの比較となる。店頭価格でちょうど10万円6Dの方が高価。レンズキットは2パッケージ用意されていて、標準ズームとしては比較的倍率が高い24-105mmF4Lと、ワーキングディスタンスが短くマクロモードもある24-70mmF4L。どちらでも価格は20万円台後半となる。少し寄りたい時に105mmは便利だろうが、博物館でもの撮りをする時にはマクロモードも捨てがたい。ちなみに6DはWi-Fiと共にEOS初のGPSロガー内蔵である。普段はボディと別にロガーm-241を持ち歩くが、やはり後で座標データを埋め込む手間がかかるのが面倒なのだ。それに撮影したコマの原本としてRAW画像を位置付けているのにそこへ座標データを書き込めず、常に現像処理後に毎回改めて座標データを埋め込み直す必要がある。本体内蔵ならそんな手間は全くかからない。
 悩み始めて1時間が経過した。同行していた妻は既にイライラが限界に達しつつも、今ここでそれを口に出しせっかく旅行に前向きになった俺の気分に悪影響を与えるのは避けるつもりらしい。
 ううむ、どうしたものか…昔ほど撮って歩くことに意欲が湧かなくなっている今、安い70Dにしておいてもさして後悔はしないのではないか。それとも、大した技術もセンスもない自分が、一生に一度の海外旅行で失敗しないようフルサイズの6Dを選ぶべきなのだろうか。
 
 散々迷った結果、6Dの24-70mmLキットを選定。店頭価格で28万円…主PCであるDELL M6700以来の高額品購入となった。
 高いものを買って麻痺したのか、キットレンズ用の保護フィルタとPLフィルタ、それから旅先で邪魔にならないよう1脚を追加購入。応対してくれたあまり喋りが得意ではない店員さんはこのおっさんまだ何か買わないだろうかという雰囲気だったが、残念ながらこれ以外はWEB通販だ。
 6D自体は在庫がなく、翌週末までに手配するとのこと。
 
 納品後に操作練習できる日数がほとんどないのが不安だが…。