帰国。

 早朝、ブリットを貨物車として使うべく小松空港へ。義妹たちの便には少し余裕があったので屋上のデッキに上がり、空港の反対側にある小松基地のハンガーをKissDXとSIGMAの18-200mmで狙ってみた…が、初めは中のF-15が丸見えで開放されていたハンガーのシャッターがいつの間にか締め切られてしまいおしまい。
 到着口に向かうと、ソファに髪がピンクのロッカー風の若い女性がいた。やたら目を引く人物だったのだが、義妹達より一つ前の便から降りてきた中国語をしゃべり倒す観光客に混じって、やたら高そうな服を来た女性客を見つけるとエスコート。その女性客とは、芸能リポーターとして有名な東海林のり子だった。
 「同じ便に假屋崎省吾さんがいてねぇ…」「え〜そうなんですか?」と話しながら歩き出したが、首からKissDXをぶら下げて立っている自分を見つけるとじろりと一瞥して去っていった。
 
 次に出てきたのは今度こそ義妹達。2年ぶりに会った姪はもう10歳になり背丈が一回り大きくなったが、愛嬌があってお喋りなところは相変わらず。妻と義母は14時間の飛行で死に体の義妹を放ったらかしで姪とキャッキャと楽しそうにしている。こちらはポーターの努めを果たすべく、初夏の日差しに焼かれながら重量級のトランクを預かってブリットに積み込み。
 とりあえず義妹宅に戻り、丁度昼食の時間となったので近所にある回転寿司店へ行く。普段はスシローやくら寿司にしか行かない俺には信じられないような高級店。義母が奢ってくれるというがいつもの価格帯の皿しか手が動かず、精算の際には安っぽい皿の塔が目の前に出来上がっていた。
 義妹は結婚式当日はビデオ撮影を買って出てくれていたが自らの「作品」はまだ未視聴だったのでしばらく上映会。俺自身は恥ずかしくてとても見ていられない。姪は時差で寝ていないのと、数年ぶりの日本の家に大興奮でひたすら喋り続けており、自分はその様子をお土産写真用にひたすら撮影し続ける。
 我々の帰宅前に近所のイオンに買い物へ。フードコートで夕食となったが、あまり空腹を感じなかった自分はマクドナルドの100円バーガーで済まそうとした。…が、うっかり「マック」と口を滑らせて義妹と姪から散々咎められるハメに。義妹夫婦は姪にファストフードを禁止していて、またイギリスではマクドナルドは下層民の主食としてかなり蔑視されているそうで、姪は「Gungunmeteoさん!マックはダメです!体に良くないです!」と口を尖らせて睨んでくる。なるほど、義母と妻がメロメロになるわけだ。
 しかしながら100円バーガーを食べたい下層民である自分はどうにかして彼女らの目を盗んでマックに近寄ろうとするが、妻から今は姪から目を離すなと叱られしょげかえる。
 日が暮れる頃に、義妹宅の近所にある99歳の祖母宅へご挨拶に行く。昔初めて会った頃は自分で身の回りのこともできたし昔話もよくしてくれていたのだが、この数年はめっきりと痩せて一日のほとんどは眠って過ごしているらしい。姪は祖母のベッドに座り込んでイギリスで自分が出演したバレエ公園の写真集を見せていた。この子は相手が誰であれ全く人見知りせず物怖じすることもない。義弟も義妹も対人スキルは高いのでその教育の賜物だろうか。