カレーです。

 夕食は自分のアパートへ戻って食べるのだが。
 ご飯は炊くがおかずが作れない。玉子焼きと炒り卵とゆで卵は作れる。あとたまごかけご飯と呼ばれるどんぶりも作れます。これだけできたら十分だと思っていた時期が俺にもありました(AA略
 あ、炒り卵も塩コショウ味とごま油味という2種類を作り分けることが可能です。
 …まぁそれはそれとして、単純にレトルト食品に頼るのが現実的なおかず問題の解決方法だろう。
 というわけで近所のスーパーへ行って卵パックとレトルトカレーと惣菜コーナーの一口ヒレカツを購入。

 カレーマルシェ!。懐かしい。
 学生時代の一人暮らしで何百食食べたか分からないほど愛用していたが、実家に帰ってきてからはレトルト食品自体が縁遠くなっていて、これもこの10年以上全く食べた事がなかった。
 そういえば、当時は朝食なし、昼は学校隣のお弁当屋ヤマザキデイリーストアの弁当を学校最寄の友達の部屋で食べ、夜はスーパーの惣菜コーナーで買った毎回同じ白身魚のフライと自分で炊いたご飯、コンビニでバイトを始めてからは2日に一回は夕食もコンビニ弁当(ただし賞味期限切れ)をアパートに帰って食べるという食生活だった。
 もちろん料理ができなかったからこういう状況になるわけで、多少なりとも食事にメリハリを付けようと考えた結果、海軍に習って数日おきにカレーを食べよう!と思いついたのだ。
 その頃特に選んで買っていたのがこのカレーマルシェとLEE。確か当時は西田ひかるがCM出演してたのではなかったか。辛過ぎず、食べても粉っぽさがなくて食感がよかったのと、実のところ食事について一度パターンが決まると変えるのが嫌だという私の性格によって、たった2年間の一人暮らしで膨大な数のカレーマルシェを消費することになった。
 台所で実家から持ってきたアルミの片手なべをガスコンロにかけ、やはり実家から持ってきた中で一番大きかった水色の皿にご飯を盛ってレトルトが茹でるのをぼんやりと待つ。時々はガス給湯器でお風呂も沸かしたりしながらだったっけ。冷蔵庫には大抵三ツ矢サイダーのペットボトルが入っていて、食後や風呂上りに飲んでいた。
 カレーをパックから皿に移したら、台所から隣にある窓のない四畳半の和室に持っていってこたつテーブルに置いて食べる。その部屋のさらに向こうには窓に面した寝室兼リビングがあって、そこに置いてあったテレビ兼MSX用モニタを見ながら…。
 食べ終わったら、皿を洗ってバイトの夜のシフトに出かけるか、MSXでLINKSに接続してPPDFA(MSXFAN専用BBS)を覗いて書き込みをしたり、PS/55noteでDOS/V版SUPER大戦略プリンセスメーカーで寝るまで遊んでいたのだ。
 まだ電子メールは使えなかった(正確にはLINKSにも電子メールサービスはあったが)から、友達と何時間も長電話した夜もあれば、ヲタ友達と競作していた下らなくてオチもない変な小説を呻吟しながらMS-Worksに打ち込んでいた夜もあった。
 充実なんかしてない学生生活だったが、単純に楽しかった時代。
 あれから想像を絶する長い月日が流れて自分にまつわるいろんな事が変化してしまったが、食卓に一瞬だけ、今はもうない、当時住んでいたアパートの情景と匂いが蘇ったような気がした。