お弁当まで。

 昼休み。
 昼食は、普段は職場に配達されるお弁当を買っているのだが、配達に来た時に運悪く離席していたりして買えない日も多い。
 そういう時は最寄りのサークルKへ行って適当に弁当を買うことになる。
 今日も別室で独りで作業をしていて、昼休みを随分過ぎた頃にようやく終わり、残り時間を気にしながらサークルKへ向かった。
 かなり遅い時間なのでもしかすると弁当がなくパンか何かでごまかすことになるかもしれないと思っていたが、店の入口に立った時点で棚にはほとんど何も残っていないのが見えた。
 このまま歩いて3分のアパートに戻って残飯を探すかどうか迷ったが、そちらにも大したものはなかったはずだ。
 仕方ない。高くてまずいおにぎりか、菓子パンでもいいか。
 そう思って入店したが、弁当の陳列棚には初めて見る弁当が残っていた。

 な、なんだって…。
 レジを見やると、職場のZ君がお気に入りの女の子と、恐らくキモヲタか、さもなくば同族嫌悪の激しいキョロ充だろうと以前から思っている若い男の2人。
 しかし今買うかどうか迷っている余裕はなかった。恥ずかしいとか買えるかどうかというより、本当に休み時間が残ってない。
 うまい具合に女の子のレジには別の客が並んだので、全く自然に男の店員にレジを通してもらうことに。
 予想した通り、カウンターに置いた一瞬微妙なフリーズを起こす店員。
 まあどうでもいい。本当に食事の時間がなくなるのでちょっと焦る。
 今からすぐ戻っても20分もない。

 買ってしまって気がついた。これを自席に戻って職場の目線を集めながら食べるというのか。
 駆け足でアパートに行き、さっさと食べてしまうことにする。
 パッケージは通常のラップと別に例の4人があしらわれたフィルムが巻かれている。剥がしてコレクションしたがる向きに考慮してあるというのか。
 とりあえず電子レンジで暖める。

 中は意外にもまともだった。
 『あの人に「オムレツ」〜ケチャップで伝えるメッセージ』とパッケージに書かれている通り、ミニオムレツ用のケチャップは別に付いているが…この小さいオムレツに何を書けというのか。もちろん普通にダダがけしてしまう。
 食べてみると普通においしい。コンビニ弁当にありがちな極端に濃い味付けはない。たけのこご飯も、若干たけのこが少ない気はするがくどさはなく食べやすい。
 休み時間は残り10分となり、他はゆっくり味わう暇はなく完食。