船に乗る。

 その後、夜になってから隅田川の屋形船に乗るため「富士見」さんへ。屋形船に乗るのは生まれて初めてで最初はかなり興奮したものの、考えてみれば外は冷たい風しかなく、座敷の中で課長や職場の人間と顔を突き合わせて食事をしても何が楽しいのか…黙って外の風景を眺めていても会話は弾まず、昼食が遅くしかも肉料理だったため誰も空腹で食も進まず、船内に何となく気まずい雰囲気が流れる。もちろん全く楽しくなかったわけでもなく、ベイブリッジをくぐる際にはなかなか美しい光景を眼にすることができた。
 我々を乗せた船は30分ほどで、フジテレビ社屋の足元にある隅田川の河口に到着。そこは巨大な船溜まりになっていて、我々以外の屋形船が大挙して押し寄せていた。船に乗り組んでいる女性従業員さんに聞くと、夏の花火シーズンなどはこれどころではなく、船をぶつけないと先に進めないほどらしい。
 船が停船すると、屋形船の屋上へ上がる許可が出た。早速寒さをこらえて登ると、沿岸の夜景が一望できる。残念ながら今回の旅行には携帯性を考えRICOH RDC-7SとRDC-i500しか持って来ておらず、高感度性能のあまりよくない2機種では満足な夜景は撮れなかった。

 さて船の中の食事だが、お刺身の盛り合わせとてんぷらがメイン。しかし…北陸の人間が東京で刺身を食べると「よもやコレが同じ刺身料理か」と驚愕するほど、味が良くない。屋形船の名誉のために言えば、我々の今日の昼食のタイミングなど他にいくつも足を引っ張る要素があるのだが…。あまりに料理が残ってしまい、私も少し無理をしててんぷらを食べた。後でどうなるかも知らず。
 盛り上がりに欠けた船内の空気を読んで幹事は時間を切り上げて船に帰路に着くよう頼んだ。下船時にお土産として佃煮と、残っていたてんぷらの折り詰めを持たされた。佃煮はいいがてんぷらはどうしたものか。