銀塩フィルムの時代。


 正月に義弟宅を訪れた際に、義弟一家と共にボウリングで遊んできた。
 その時持ち合わせていたEOS55でゲームの様子を撮影したフィルムの現像が終わっていたのでかなり前に引き取ってあった。元々手持ちのフィルムスキャナでデジタイズするつもりだったので焼付は頼んでおらず、かと言ってフィルムスキャナのセットアップも面倒なので放置していた。
 そろそろどうにかしなければと、やっと重い腰を上げてスキャン作業を開始することにした。
 フィルムスキャナはキヤノン製のFS4000US。Windows2000時代の旧式機で、HARD OFFのジャンクコーナーから500円で拾ってきたものだ。インタフェースはUSB1.1SCSIという、恐らくWindows7以降で使おうとすると大変な苦労が待っているに違いない代物だった。
 分かっていたから先延ばしにしていたのだが、予想通りの展開となった。
 まずスキャナとしてのデバイスドライバである純正ソフトウェアFilmGet FS for Windowsは最終版がWindowsVista対応。やってみれば動くんじゃないかとWindows7環境のPrecision M6700に導入を試みたが失敗。WindowsXP環境を維持しているThinkPad X60では正常に導入成功しPaintShopPro X5でTWAINスキャナとして使用可能だ。
 ならばM6700上でVirtualPCWindowsXPを起動して、Windows7にとりあえずUSB接続したFS4000USをUSBデバイスとして識別できるかやってみると成功。仮想環境であれ何であれ、手持ちの環境ではXPでしか動かせないわけか。
 SCSI接続は俺が所有するSCSIホストアダプタにWindows7環境で使用できるものがないため最初から除外。
 そして実際にスキャンを開始すると、これがまた遅い…。35mmフィルムを4000dpiでスキャンすると1コマ2〜3分、ネガ1本に6コマなので単純に1本に20分ほど掛かってしまう。対象は36枚撮りフィルム3本なので、もし途切れることなくネガを交換してぶっ通しで作業しても6〜7時間。
 スキャン途中も塵・ホコリや皮脂がネガに付着すれば直ちに画像に影響するためエアダスターや無水エタノールとクリーナーが手放せない。
 実際には取込む側のWindowsXP環境ではメモリが足りず連続して取り込めるのは4コマ程度。取り込んだら画像を一旦保存して閉じメモリをクリアしてから再度スキャン処理を行わないと途中のコマの一時保存に失敗してしまう。
 放っておいて自動で取り込みができないため、帰宅してから就寝までの空き時間を使って処理していると一週間近く掛かってしまった。
 DPEでL判に焼き付けてもらい、それをフラットベッドスキャナでスキャンして画質調整するのとどちらが簡単で高品質になるだろうか…。それとも富士フイルムの現像+デジタル化サービスに依頼するのがよかったのか。
 何度か取り込みし直しを繰り返してようやく全コマの取り込みが終わった。終わってから気付いたがセンサ用バックライトの蛍光管が経年劣化しているため取り込み結果ファイルの色調がおかしい。
 なるほどフイルムでなければ撮れない空気感があるというのは分かったが、その1枚を得るために必要な手間や時間に見合う作業とは思えない。
 まとめ買いしたISO800とISO1600のフィルムが3本ずつ残っているのだが、使い切ったら素直に有償サービスでデジタイズしてもらおう。
 なお、今回得られた結果ファイルはISO400フィルムで屋内、暗い安レンズを使ったせいで散々な代物になった。EOS55本体についても撮影中に気になっていたがAFが被写体と距離の変化に追いつかず、またAF点が少なすぎて日の丸構図だけになってしまう。置きピンを試したがレリーズタイムラグが意外と長く当てにくい。まともに撮れていたのはMRJの撮影時にテストしたコマだけだ…。