擦り傷が。

 今シーズンの降雪が始まって一週間が過ぎた。
 先週までにAmazonで注文していたブリットのムーンルーフウィンドウが到着していたが、昨日まではかなりの悪天候で交換作業は先延ばしにしていた。
 今日は雪に時折小休止が入る状態で、この数日の中ではかなり作業しやすい様子だった。今日やらなければまた雨漏りで車内の結露が悪化する。
 届いたムーンルーフウィンドウを梱包箱(業者はAmazon規格外の箱にサインペンでAmazonロゴを手書きしていた)から取り出して点検。
 中古品のため劣化具合が心配だったが、ガラスは両面とも傷なく、汚れもない。車体と接するウェザーストリップにも傷やへこみ、破れなどはない。
 ガラスとウェザーストリップとの接合面では、懸念していた剥離の発生は目視では認められなかったが、車内側の圧着プレートの縁にわずかに赤錆があった。箇所数や範囲はわずかだったが、既に接合面がどこかで剥離し車外側からの雨水の浸潤が始まっている証拠だ。圧着プレートを剥がして赤錆を全てクレンジングすべきだが、分解した後でまともに再組み立てができるか不安がある。やるなら対象は練習台として錆がよりひどい旧ウィンドウを選ぶべきだろう。
 今日は露出している部分だけ赤錆のクレンジングを行い、塗装が剥離した部分に錆転換剤を塗布。どこかのホームセンターで売れ残りだった錆転換剤だが効果は確かで、赤錆の跡があっという間に黒く変色する。
 その後ウェザーストリップの内外面にゴム保護剤を塗布し、劣化予防策は完了。
 状態からしてこれに交換しても雨漏りが完全に解決することはなさそうだが、今より漏水は減るだろう。
 
 さて、実際にブリットでウィンドウ交換作業を開始したところで、悲劇は起きた。
 ラゲージルームに新ウィンドウを仮置きして、旧ウィンドウの取り外し作業に着手した。この時ラゲージルームには工具の他雑多な荷物が積みっぱなしだったがそれを降ろすのが面倒だったので、その上に被せるようにやや不安定な形で新ウィンドウを載せた。
 リアハッチは開けたまま、運転席に移動して旧ウィンドウを駆動レールに固定していたナット4つを取り外す。一度点検のために取り外した際、どうせ後日また作業するのだからとあまり強くは締めなかったのだが、一本だけなぜか固着していて手こずった。
 俺がシートの上でジタバタしたため車体が僅かに揺動した。
 その瞬間「キシャー!」とロクでもない擦過音が聞こえた。
 何事が起ったのか概ね察した俺だったが、悲しい事実を認めたくなくてしばらくフリーズしてしまった。
 ラゲージルームを滑り落ち勢い良くテールゲートを飛び出したウィンドウは駐車場のアスファルト上を一直線に滑走し、隣の敷地との境にあるフェンスとコンクリート基礎の隙間に刺さった。
 積雪で直接路面やコンクリート角に接触せずに済んだかもしれないとの淡い期待は、そっと引き出したウィンドウの表面にはっきりと残った多数の擦過傷を見て吹き飛んだ。

 ガラス用の研磨剤は手元にないので、今は傷隠し用のクリアペイントでごまかすことに…。