電話対応。

 昨夜、他部門の協力を得て進めていた仕事が原因で終業後になってトラブルが発生したとの報告があり、うっかり居残っていた俺は部門長を巻き込んで相手への謝罪と今後の対策の周知に冷や汗をかいた。
 
 トラブル発生時、相手からのクレームの電話をT君が受けた。俺は窓口で顧客対応中、Z君も別件対応中で手が離せず、D君は所用で定時退勤していた。
 うまく受け止められればよかったのだが、T君は相手に「それは私では分からないので、明日担当者が出勤してから連絡させます」と答えた。確かに本当の担当者は帰宅していたしT君に話が分からないのは事実だが、そこで「確認しますのでお待ちください」の一言が出なかったのは残念だった。
 相手の怒りの炎は燃え盛り、T君がひたすら電話口で「それは私では分からないので」を繰り返し始めたところで周囲の先輩達が異常事態に気が付いて電話を中断させ、Z君が代わりに引き取った。
 偶然相手がZ君の顔見知りだったことからうまく謝罪の機会を作ってもらえるまでには怒りを納めてもらって電話を終えることはできたのだが、T君は様子を見ていたボスに直接注意され、さらに戻ってきて事情を聞いた俺にさらに注意されることになった。
 「もしまともな受け答えが困難になるくらいの難しい相手なら、俺や先輩に投げたっていいんだよ」と言う俺に対して、T君は「そ、そうですね…これからはすぐ投げる事にします」と答えた。
 うーん、それはそれでどうだろうね。

 そしてこの件は後日強力な核弾頭となって我々に再び飛んで来ることになるのだが、それはまたいずれ、