君の名は。

 妻に頼まれていた買い物も済ませたがそれでもなお時間があったので映画を観ることにした。妻がいる時には観られない『君の名は。』である。
 なるほど、先週時点で邦画興行収入が歴代2位についたと言われるだけの面白さだった。
 新海誠監督の作品を一番最初に観たのが2002年頃の『ほしのこえ』だったと思うが、当時と変わらず絶対に会えない状況でもどかしさや無力を感じながらも自分にできることを探して前へ進んでいく若い男女が美しく描写されていた。
 別にSFってわけではない。ロシュ限界だとか鉄隕石だとかそれっぽいキーワードが使われていてもその周辺の考証は適当だ。例えば月軌道以内に進入してなおそこからの脱出速度を持っている彗星が、一晩かけて見物できるような遅さで飛ぶものか。しかも既に観測者の真上にいるその彗星核が割れ、一片が地球周回もせずに観測者目掛けて落ちるなんてどんな減速エネルギーが働いたのか。
 だけど、名前も分からない誰か一人を単なる偶然だけでは探し出せるわけがないという焦燥と諦観を静かに観客に感じさせた後で、そっと救ってくれるための考証はお見事。
 昔の俺ならきっと積極的に観に行こうとは思わなかったジャンルのはずなのにやたら面白かったのは、歳のせいなのか、一体?。
 
 年末はローグ・ワンにしようかな…。