デスクトップPCを。

 N氏が今月末の予定の空き具合を問い合わせてきた。残念ながら仕事なのでお断りしたが、積もる話もあるようなので近いうちに時間を作ることにする。
 
 アパートで唯一のデスクトップPCであるFM/VのHDDが死にかけている。Pentium4の2.26Ghzでスペック的にはかなり古いが、中古で安く買えたのと妻と共用でSkype端末としてテレビに接続して使ってきた。
 全く同じ機種を実家にも設置していたが、そちらはもう何年も前にHDD死亡で運用終了となった。それに比べると24時間駆動で5年近く動作したのだから長持ちしたものだ。
 これにUSBで接続していた外付けHDDもどうやら死亡したらしい。主PCに接続しても認識できなくなっている。ケースを割って中のHDDを取り出すとインタフェースはシリアルATAだ。できればS-ATAで直接接続して障害復旧を試みたいところだが、あいにくと今アパート内にはS-ATAとUSBの変換アダプタがあるだけで、PCのM/Bに直接S-ATAで接続できる環境がない。
 このFM/VもパラレルATAインタフェースしかない。HDDを交換するにもP-ATAのHDDなどもはや新品で買う意味もほとんどなく、どうせならS-ATAインタフェースを備えたもう少し高性能な中古PCに買い替えた方がいいだろう。
 中古PCの現物を置いた店は県都に何件かあるが、以前別の中古PCを購入した店が知る限りで一番品ぞろえがよいので行ってみることにした。ついでに収納家具が充実したホームセンターで、散乱して収拾がつかなくなりつつあるPC用のケーブルや小物のケースをまとめ買いしよう。
 うまい具合に今日は起床がいつもより非常に早かったので時間的にはとても余裕がある。ゆっくり品定めができそうだと内心喜びながら妻に出かけると声をかけたところ、よほど暇だったらしく付いてくると言い出した。
 困った。俺の要件に妻には全く興味関心がない。行く先々で無駄な寄り道をさせられるだけになる。
 妻に再び今日の用向きを説明し行ってどうするのか確認すると、結局行きたいところがあったわけではないようで義妹夫婦宅に遊びに行くという。
 またか。幾らなんでもお邪魔しすぎだ。義妹も再就職して姪も毎日勉強で忙しく、以前のようにいつでも遊びに行ってよいような場所ではないと言って聞かせるが全く聞く耳をもってくれない。
 この話題になるといつも俺の実家と妻の実家の親戚付き合いの密度の違いが明白になる。俺の実家では叔父・叔母あたりが訪れるのは盆暮れ・正月くらいで、ウチの家族が相手を訪問するのも年に1〜2回がせいぜいだった。それもお互い同じ県内に住んでいての話だ。田舎だから他にとても近所に住んでいる親戚がやってくることは日常的にあったかもしれないが立ち話をしてさっさと用事を終わらせていたものだ。
 せっかくの週末の休みを特段の用件もなくやってくる我々に邪魔される義妹夫婦宅の迷惑を考えるべきだと言うと、お前は逆に親戚の訪問をそんな風に邪魔だと感じるのか、義父や義母がアパートにやってくる時もそんなに迷惑だと言うのだな?と怒り出す。
 じゃあ、俺の両親がやってきた時や俺の実家に行った時の妻の態度は何なのだ…。
 
 散々文句を言い合うが結局妻は義妹宅に何かの用事を見つけて押しかけることになったらしい。俺はもうこの件で話すのに疲れてしまい、ともかく出発することにした。
 せっかく余裕のあった時間は、結局いつもと同じである。
 
 県都に入り義弟夫婦宅を訪問した。義弟は家の駐車場と戸室石の石垣に付着したコケやカビの黒ズミを洗浄しようとして、義父から借りた高圧洗浄機と格闘していた。カビはわかるが、せっかく自然に生えそろってきたコケまで一掃しなくてもよいではないか。出身地は乾いたオーストラリア大陸だが、コケとカビの区別がつかないわけでもあるまい…。
 今後、家の壁も補修しながら再塗装するつもりらしい。白人のDIY精神は見上げたものだ。
 
 お詫びしながら妻を置いて、俺自身の用を済ますためにアプライドへ。
 事務用PCとして使われ放出された比較的コンディションのよいいわゆるスリムタイプのデスクトップPCが何台かあった。店頭在庫は主にNEC製と富士通製だ。NEC製はちょうど俺が職場で使用しているPCと同時期の発売された製品で、PCへの高負荷時にファンの騒音がひどい。一方でこれまで使ってきたFM/Vの静穏性が非常に優れていたので富士通製を検討したが、別にFM/Vだから廃熱が高効率で静かだとは限らず搭載されたCPUの廃熱が大きいか否かによるところが大きいことを思い出し迷い始める。
 そんな中で条件がよいものを一つ見つけ店員に頼んでケースを開けてもらい中も検分したが、筐体の小ささのためHDDが1発しか入らない、SATAも実装されているドライブ分しかない、M/B上のバスもPCIのみと何となく希望の条件に合致しない。価格は税込みで3万円少々と手ごろだったが小一時間ほど迷い続けた挙句再検討して出直すことにした。