最初で最後のMiniDisc。

 SONYが、MiniDisc機器を終息した。
 MDと言えば、カセットテープ(オープンリールと比較してコンパクトだったのでCompact Casette Tape…CCTという略称があったとか)のリプレース媒体の本命と言われていて、発表された当時はCDショップに同じアーティストの同じアルバムがCD媒体とMD媒体の両方並んでいたし、PC向け媒体としても有力視されていた。録音も可能な機種がSONYだけでなくKENWOODその他の名だたるオーディオ機器メーカーから発売されていて、ちょうどその頃にKENWOOD製のミニコンポを買った自分はオプションのMDレコーダを追加で買う予算をどうやって捻出しようかといつも考えていた覚えがある。
 様子が変わってきたのはWindows95の登場とPCの普及、そしてCD-Rが登場してからだったと思う。従来からあるCDプレイヤーで(一部互換性がない機種はあったが)聞けて作成も簡単、しかもMDと違い圧縮しないため音源を損なわないのだから、普通に考えてCD-Rを使わない訳がない。
 CD-RWで書き換えも可能になってしまうと、他に使い回しの利かない専用ハードウェアが必要なMDに立つ瀬はなくなった。ポータブルオーディオ分野も、皮肉にも同じ非可逆圧縮で音質を損なうとマニアから失笑されていたMP3形式対応のシリコンプレイヤーが席捲してしまい、MDは過去資産を使い続けるためのデバイスでしかなくなってしまった。
 俺自身は結局MDが市場で勢いを保っている間、遂に機器を購入することはなかった。そのまま手にすることはないと思っていたが、ブリットの純正オーディオという意外な所に組み込まれてそれはやってきた。しかしレコーダがないため宝の持ち腐れとなり、納車後5年の長きにわたり一度として使用されることはなかったのだ。
 ブリット車内のオーディオ環境はお世辞にも整っているとは言えないが、シリコンオーディオの名機Muvo2FMをブリットに増設したAUX端子から入力し聴いている。ただし、Muvo2FMには自分の趣味の曲だけがぎっしり数千曲収まっており、たまの来客に聴かせるようなありきたりの曲の準備が心もとない。というわけで、自由に編集できるもうひとつの音源としてMDを活用できないかと考え始めたわけだ。
 現在新品で入手できる機器は唯一、SONY製のレコーダMZ-RH1。これが9/30を持って販売終了となるので慌てて駆け込み注文、33,200円なり。今までに購入してきたポータブルオーディオの中でも最も高価な品ではないだろうか。(初代Muvo2は15,000円、Muvo2FMはワゴンセールで9,990円)

 それは注文からわずか3日後の日曜日にやってきた。