侵入者。

 その夜は寝付けずに遅くまで起きていた。そのため今日は午前中全く目が覚めず昼過ぎまでずっと眠っていた。
 おかしな夢を見た。
 …もう日も昇って部屋も明るくなった頃、誰かが玄関のドアを開けて部屋に上がりこんできた。そいつは廊下やリビングを徘徊しているらしい。時折俺の名前を呼んでいるようだ。
 寝室で横になっている俺はなぜかベッドの中で金縛りにあったようで、目もうまく開けられず、起き上がることすらできない。寝室のドアの向こうで歩き回っている何者かを確かめようと意識をそちらに向けるのだが全く身動きはできなかった。脳内で、そういえば昨夜は玄関ドアの鍵をかけてなかったことを思い出す。
 そのうち、そいつは他の部屋を全部調べ終わったらしくこちらに向かってきた。気配がだんだん近づいてくる。俺は追い返そうと叫び声を上げようとするが口も満足に開けられなかった。相手は寝室のドアを開け、のしのしとベッドに歩み寄って…。
 そこで目が覚めた。
 起きて周囲を見たが別に誰かが入ってきた様子はなかった。
 というか、そういう夢ってたまに観るよな。
 
 リビングに行くと、テーブルの上に見慣れない箱が置いてあった。
 えっ、誰が?やっぱり誰か入ってきたのかと思い凍り付いていると、携帯にメールが届いた。
 「ケーキ持っていったので食べてください(^^)」と妹から。
 バカ野郎!起こせ!
 死ぬかと思った。