友達。

 妻に聞くと、昨夜は姪が眠った後で姪の交友関係について話し合ったという。
 間もなく中学2年生になる姪はコミュニケーション能力の高さから同学年に敵はいないが、義妹のママ友の間ではどうも素行が怪しいとされている同級生のグループともあまり距離を空けずに付き合っているらしい。そのグループの放課後の行動にはママ友達も把握できていない高校生を含む男子が何人か関わっている様子があり、義妹は複数のママ友から警告を受けていた。
 白人とのハーフである姪は純日本人の同級生達と比較して外見だけは明らかに大人びて見えるため、私服でいれば高校生と区別ができない。街に出れば頻繁に若い男から声を掛けられる。学校でも学校外でも、良くも悪くも目立つのだ。そのグループにとっては遊び相手の男を集めるための客寄せパンダになっているのではないか、と。
 幸い今までのところ明らかなトラブルはないが、同年代の女の子の友達としか交流がなかった時期と違いどう距離を取らせればよいか義妹夫婦も悩んでいるのだった。グループと距離を置くことでイジメの対象になるかも知れず、また姪も何でも親に話して聴かせてくれるほど素直な時期も終わりつつある。
 義妹は今年から高校教諭に復帰することが決まっており、両親不在の時間帯に姪の行動を把握できる大人がいなくなってしまうことが悩みを深める要因の一つだった。
 義弟はいずれ日本を出たいと考えているから、高校もしくは大学進学の前に義弟の故国へ移って義弟の両親と同居しながら姪の暮らしを見守る手もあるのではないか。義弟にとって日本の思春期の子どもたちの謎めいた人間関係よりは故国のそれの方がよほど理解しやすく安心できるだろうと思うのだが。
 所詮は外様の俺からどうこう口を挟むような問題ではないが…。