独立系。

 帰路にある、とあるゲームセンターに立ち寄った。Facebookでこまめに告知をしていると言えば今では当たり前だろうが、この田舎では極めて珍しい、やる気のありそうな店だ。
 ところが実際に行ってみると、店の外にはジャンクのアーケード機の筐体がバラバラになって山積みされている。店の窓という窓は厚いカーテンで締め切られており、しかも駐車場には県外ナンバーのいかにも工事関係者用という雰囲気の車が数台停まっている。もしかしてこれは閉店・解体工事中なのだろうか。
 かすかに音ゲーの音が漏れ聞こえてくるので少し安心しながらドアを開けた。
 目に飛び込んできたのは、剥がされた床板や散らばった大工道具に、床板の代わりに敷かれたベニヤ板だった。しかし音ゲーはまさに客がプレイ中で爆音が鳴り響いている。
 店内を一回りしてみると稼働中の機種はほとんどが音ゲーだ。オンラインクイズや格闘ゲームもあるが数は少ないように思われた。UFOキャッチャーは1台だけ設置されてはいるが通電されておらず、店内装飾用のガラスケースのような状態だった。
 置かれた筐体の何台かは分解されて基板が露出した状態だ。どうやら、若い経営者が機械保守も店内改装もある程度自力で行っていているらしい。
 せめてシューティングがあれば長居もできるんだが…。
 残念ながら今日は病休で出かけているところでもある。引き揚げようと玄関に向かう途中、床に寝転がった猫に気がついた。この店のFacebookでもよく紹介される看板猫であった。
 タバコの煙が漂い音ゲーの爆音が止むことのない店内で耳一つ動かさずに眠っている。感心しながら、うっかり踏まないよう、そっと店を出た。