漏水。

 今日は妻が仕事で不在だった。3連休の中日で、正午頃まで眠っていたのだがさすがに何もせずこのまま時間を浪費するのはどうかと思われた。
 ふと先日N氏からPCを新調するのに付き合うよう頼まれていたのを思い出した。出かけるなら今日にして、明日はまた一日眠っているのが良さそうだ。
 ちょうど、ブリット車内に隠匿してあるUFOキャッチャーの新たな戦利品であるプライズ群をそろそろ何かに収納しなおしてアパートに運び込む必要も感じていたので、どこかのホームセンターで収納ケースを買ってくるか。
 
 それでN氏に連絡し、小雨が降る中駐車場に出て、ブリットのドアを開けたところで異変を発見した。
 運転席のシートに乗せてあったクッションがドア側の半分ほど水に濡れているのだ。
 しまった、ドアウィンドウを開けっ放しにしたか、あるいはドアをきちんと閉めていなかったか…。
 だが調べるとウィンドウはきっちり閉まっていたし、ドアが空いていれば先の降車の際にはルームランプが点灯しっぱなしになってすぐ気づいたはずだ。運転席ドアのゴムシーリングに破れや空隙が出来ていないか調べたが何も問題はない。
 右のAピラーの内側を調べていくと、車内への水の滴下箇所が見つかった。ピラーの内張りは車内から見て内側と外側の2つに分割されているが、その間隙からだった。

 この位置から車内に流れてくるとすれば、ボディ外からの水の侵入箇所はもっと高い位置…フロントガラスの上端周辺もしくはムーンルーフからだろう。
 フロントガラス周辺に異常はない。
 ではムーンルーフを調べようと、普段は閉めている遮光用のスライドパネルを半分ほど開けた途端にコップ一杯分ほどの水が降ってきて、呆気にとられて硬直してしまった。
 ムーンルーフ…お前か犯人は。
 
 スライドパネルのルーフ側に手を入れて水の溜まり具合を探ってみるが、今のでほとんど全部の水が流れたようで多少指先が濡れる程度しかないようだった。ひとまず洗車用タオルを差し入れて拭いてみたが、何せムーンルーフとスライドパネルの間は覗き見るのが困難で実際どうなっているのかよく分からない。
 車外からムーンルーフウィンドウを目視で調べると、以前に比べてルーフよりウィンドウが持ち上がっているような気がする。開閉時に所定の位置に復帰せずボディ側とウィンドウ周辺のゴムシールに間隙ができて水の侵入経路ができるのだろうか。チルトモードで開けてゴムシールの密着面を見るが、明らかに隙間が開いている気配はない。というか、ずっと雨が降り続いているせいで濡れた面と乾燥した面の区別が付かなかった。ムーンルーフを閉じてから、持ち上がったような気がする後端部分を指でグッと押してみるが、今の位置より下がるような感触もしなかった。
 ブリットに持ってきていたタブレットでムーンルーフの漏水に関する不具合を調べてみると、場所が場所だけにどの車種・メーカーでも常に漏水がついて回るらしく、溜まってくる水を排水するためのドレーンがAピラー・Bピラーに内蔵されているものだそうだ。多い不具合がそのドレーンの目詰りによる排水不良らしい。
 仕方ない。予定を変更して、前回車検を依頼したディーラーに向かうことにした。
 もしムーンルーフのゴムシーリングもしくは駆動用レール等の故障なら修理代は10万円くらいになりそうな気がする。ドレーンの目詰りなら、ブロアで吹き飛ばすかワイヤで掃除してもらえば工賃だけで済むかもしれない。
 そう言えば、昨年の雪が降り出した頃から急に車内の結露が激しくなっていたことを思い出した。水源がどこかにあるのではと不安を感じないではなかったが、ドライブ帰りに飲み物をうっかり車内に放置したりすることは今までにもあったのでそのせいだろうと思って見過ごしていた。が…今まで長年そういう事をしていて何も異常がなかったのに、急に結露が発生するようになるのはおかしいではないか。もっと注意すべきだったのに。
 
 ディーラーに行く前に至近にあるホームセンターに寄り道して折り畳みコンテナを購入した。ディーラーの担当者にブリットを預けた際、うっかり車内のプライズを見られてしまう訳にはいかない。さっさと仕舞いこんで蓋をして、固定用のネットも被せておいた。正直なところ、こんなに人目を気にするような代物の収集はどうにかすべきだと思うのだが…。また、すぐ修理できないと予想されるので当面の時間稼ぎに使うため、止水用に養生テープも購入。
 さてディーラーに到着して事情を説明したが、応対してくれた整備士は「ムーンルーフの排水用ドレンなんて聞いたことないですよ」と言う。ひとまず点検してもらう事になったが、結果はやはりムーンルーフウィンドウのゴムシーリングの劣化が有力とのこと。
 と言ってもボディ側との密着面ではなく、ウィンドウ自体とゴムシールの接着面が劣化して隙間ができているのでは…との指摘だった。該当箇所を示されたのでよく見てみると、ウィンドウ後端の運転席側でゴムシールの接着面が長さ10cm程にわたってガラスから剥がれ、1mmに満たないくらいの隙間ができている。しかし完全に剥離しているわけではないようだ。
 これはウィンドウと一体の部品になるので交換となれば6万円程度を要するが、これが原因と断定できたわけではないので必要に応じて順次疑わしい部品の交換を進めていくので最終的にどれくらいの費用が掛かるかは分かりません、との残念な説明だ。念のためドレーンの清掃で対応できないか聞くと、先ほどの説明とは打って変わって「ドレーンは4箇所あるんですが、目詰まりなんかする箇所ではないので原因として考慮しなくていい」と言う。さっきはないと言ったじゃないか。
 もし指摘の間隙が漏水箇所なら、養生テープの貼付で止水できるはずだ。その場で貼ってみようとしたが雨で濡れたボディやガラス面には張り付かず失敗。後日ボディを乾燥させてから怪しい箇所を順次調べて所要の費用を抑えてみる事にして、今日のところはウィンドウ交換費用の見積もりを出してもらい帰宅することにした。