面倒な。

 今日はレセプト総括作業の終盤。俺は幸いに労災レセプトの集計に専念させてもらえ、夕方までに発送に漕ぎ着けた。同じく介護保険の請求データの提出も完了。
 深夜、健康保険のレセプト総括作業を明日に残して医事係員一同が帰宅しようとしたところで俺用の内線電話が鳴った。今頃何だと訝しがる面々の前で電話に出てみると、市の福祉部門の係長からで、入院していた生活保護の患者に関する照会だった。市庁舎のネットワーク端末と俺の端末は接続されているのでまだ在席中なのを見て電話してきたのだった。
 本来生活保護受給の患者に関する院外との窓口はOさんだが、Oさんがあまりに融通の利かない人物であるためか関係者に敬遠されており、ほとんど全ての連絡は当該業務の前任者であるY君か俺のところへ寄せられる。Oさんもいるから代わりましょうか?と聞くと、代わらなくてよいからこのまま話を聞いてほしいと懇願される。
 電話を終えてOさんに申し送るが、思った通りで「こんな時間にですか!?詳しく話を聞かないと分かりません!あれはどうするんですか?この場合はどうするつもりなんですか!分かりません!私に何をしろって言うんですか!」とけたたましく叫ぶ。
 こんな時間に掛けてきた方も何だが、こんなくだらないことで激昂するこのOさんもどうなんだ。
 「まぁ、俺の説明で分からないんなら担当のあなたが明日電話して詳しく話聞いてみれば?」と適当にいなして話を切り上げ、帰らせた。
 ボスも苦笑いしながら帰宅され、最後に出て行くI君がまるで同志が増えたとでも言うようにニヤリと俺を見やりながら、いつもよりも元気な声で「お先に失礼します!」と挨拶して去っていった。
 明日Oさんから連絡させるので面倒臭がらず相手をしてほしいと電話してきた係長にメッセージを送り、戸締まりして帰宅。