義父の棚。

 仕事を終えて帰宅すると、義父が手作りの棚を持ってやってきた。
 家の中には極力物を置かず極限までシンプルな住居を好む義父は、その真逆といえ将来的にはゴミ屋敷の主人になるのが決まっている俺のアパートを見て我慢ならなかったらしい。
 義実家はカネにはならない山林をかなり抱えていて、そこから出る間伐材の使い道に常に頭を悩ませているほどで材料は捨てる程ある。元々義実家の改造が趣味で、自力で一階の床板を全て剥がし防湿対策の上で全部コンクリ打ち込みしてしまうような義父にかかれば棚など楽勝らしかった。
 いつの間にか妻がサイズのリクエストを出していたようだが、実際に持ち込まれてみると予定よりも高さあり過ぎた。それに主用途は本棚とのことだが、素材が杉の一枚板で本棚にするには板厚が薄く強度が足りない。溜まってきたアサヒカメラを片付けるには向いていないが、XBOX360やDVD媒体を入れておくには丁度よいかもしれない。
 しかし、この棚を設置するための片付けをする気が起きない。妻は怒りまくっているが、棚は未だにリビングの真ん中に安置されている。