面白そうな仕事だったのに。

 ボスの仕事がひとつ失敗に終わった。あまり大きな声では言えないが、簡単に言えば放送局を一つ立ち上げるための電波利用免許の申請について。
 一旦免許を手にしてしまえば、独自番組を制作して放送することはもちろん、他の企業に提供して利用料を得るなどいくらでも活用の方法があったのに、朝のプレゼンでエライ人達はボスが提示した免許を取得した後の活用方法についてコンテンツ制作体制の整備が可能かどうか不透明なことを理由に却下を決定してしまった。
 制作体制の整備といえばそれは人事に他ならず、それに責任を負うエライ人達が「可能かどうか不透明」と言い切ってしまえば我々には返す言葉がない。
 今日遅くまで決定を覆すべく関係者は奔走したが、それは叶わなかった。
 ボスは不機嫌だった。さにあらんや。